キミとお前と、俺の見ている世界2 (ページ45)

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第89話ページ45

そのセンセは「無駄」を完膚なきまでに払拭しとるような人間やった

愛想もなければ怒りも無駄に抱かない、ある意味冷徹でウチらの事をどうとも思っていない「授業をやる事だけが自分の仕事」とどこかで割り切っとるような人間に思えた

せやから、優しい世界の中にいた住人は皆その突き放すような性格の冷たい先生に悪い印象を抱いていた

生徒1「…こわーい…」

生徒2「去年までの音楽ってメッチャ楽やったんと違うんの？

なんかあのセンセ、メッチャ厳しく言ってきそう

大丈夫かな…」

不安を感じる女子生徒、同族嫌悪のようなもので嫌な顔を浮かべる男子生徒

千差万別だけど、先生に「笑い」を浮かべるような人間は誰もいない事だけは事実やったんやって言えよう

『…別に悪い人間とは違うと思うけどな

ある意味で高校の教職員らしくてええんと違う？』

ウチは多少価値観が人と違う学生やったから、その態度自体にネガティブなイメージは抱かんかった

というより、高校生を「大人」としてカウントして大人として成長させようとしているなら、その育て方は間違いでないとウチは思うような人間やったから

あまり優しいばかりが世界の正義と違うと、ウチの感性かあるいは価値観が嵌るようなそのセンセに、ウチはある意味で悪印象とは違うポジティブなイメージを抱いていた

『ああいうのが一番信頼に置けるわ

ウチはああいう人間の方がええ』

せやからウチは他の生徒が怯える反面で、1人笑っていた

ウチはある意味でセンセに挑戦的な態度を示して、ほんで食らいつく思考に決めていたんやって思う

それを馬鹿のやる事やって言われても、指向性の問題はウチにもどうにも変えられない

というより、「そういう」人間とウチが出会う事が多かった経験があるから、半分は慣れもあるんやと思う

『どうでもええ思って適当に決めとった授業やけど、ええ巡り合いがあるもんやな

音楽選んでウチで正解やったわ』

ウチはそない心を抱いて、音楽に関して特に何の技能を持ってる訳と違うけど、人の問題も含めてその授業のこれからに期待をして始まりを迎えていた