第142話 ページ49
アズールside
しかし彼女は僕が思っている以上に「非常に良い人間」です
言葉が間違っている事は多くとも、仕事は真面目にやりこなす上にコンサルタントの仕事をしていたというだけあり、物事の本質は頭で分かっている
経営の方針についても真面目な意見をくれる上、メニューに困った時には彼女なりに「こういうのが良いのではないか」と提案してくれる
そして僕の方針に決して意見も言わず、文句も一つも言わないで自分の立ち位置を弁えて行動をしている
非常に「使える」人間で、そして賢く、その癖非常に「都合の良い」人間だ
アズール「これで経営の方針は整いました
後はうまく持続する仕組みを今後も整え続けるだけですね」
『…』
彼女はきっと僕の前では何も言わない
何も言わないで、きっと僕の事を止める真似もしない
「分かっているのに」「黙っていてくれる」人間であり続けるのだ
『…ウチはお金なんてどうでもええんよ
けど兄ちゃんが雇う言うんなら付き合ったるっちゅーだけで』
アズール「えぇ、貴女の事は僕も初めから従業員としか思っていないですから心配はいりません
ですから貴女は大人しく今日もホールで馬車馬のように働いて下さい」
『…のめり込み過ぎんでな
ウチから見てるとアンタさんは「危なっかしい」から』
彼女はきっと知らないだろう
この言葉と貴女の発言が一致するような事実がこの裏に隠れている事なんて、貴女は決して知らない
貴女の言葉の示している通り、僕達は「危なっかしい」事をやってのけていますし、もっと言えば僕達も「自分に責任の負える範囲で」誰からの影響も受けず好きにやっているんです−−−−
フロイド「あはっ、契約違反の奴絞めに行こーよ、ジェイド」
ジェイド「えぇ、フロイド
今宵は何件の契約違反の発生している事やら…」
僕達3人と、そして彼女は同じ空間にいるのに「完全に同じもの」にはならないでいるまま単に「ビジネスの上での付き合い」を続けるようになっているのでした
僕が翌年我を失って魔法を暴発させるその時までは、彼女との関係が「それよりも上だ」と自覚する事もできないままに−−−−
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作者名:ユウ | 作成日時:2021年8月8日 8時