ウチとアンタと、キミの言の葉3 (ページ40)

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第133話ページ40

そして2人に連れられるままついて行けば、今の寮長をやってる兄ちゃんとあの眼鏡の兄ちゃんが2人コロシアムでえらい殺気立った雰囲気を纏わせて立っている

これから起こるのは寮の長の座を賭けた真剣勝負やっていう事や

学園長「では、始め！」

パリィンッ！！

鏡が地面に落ちて、2人は魔法で戦い合う

それを見て周りは湧いて、ウチはその真剣な勝負を見て何やか心穏やかでいられない

だって普通にそういうのって怖いやん？

自分の事やったらそうでもないんやけど、他人がやってるとどこか気持ちが落ち着いていられないのはどうしてなんやろか

多分やけど「雰囲気」を感じるようにウチの身体に癖がついてしもてるのが理由なんやろな

学園長「終了！

勝者はアーシェングロット君です！」

フロイド「やっぱりこうなるよねぇ」

ジェイド「えぇ、彼ならやってくれると思っていました

面白くなるのはこれからですよ、フロイド」

『…』

2人の「それは予め神が決めた運命だ」とでも言わんばかりの物言いに、何やか複雑な気持ちになる

あの兄ちゃんはおそらく強い子なんやろな

けどそれが「当たり前」言われるのはきっと釈然とせぇへんのやろし、せやからって実力がこの寮の中で一番の人間にはどうしても畏れを抱いてまう

『…』

結局の所、世界は全部「力」で成り立ってる

権力も金も言の葉も、所詮は皆「力」っちゅーものの傀儡

力を比べて勝った方が負けた者を自分の所有物に変えるっていう現象がこの世界の真理であって、ウチと世界が相容れる事は結局の所ない

だってウチは「負けたくない」気持ちと同時に、本音では「そんな事で自分を所有した気になるな」と「理解」に重きを置く価値観を所有して生きてるだけの弱い1人の人間なんやから

『…強い兄ちゃんやね』

フロイド「ね？面白かったでしょ？」

『…怖いって思ったわ

ウチはあの兄ちゃんに明日から従って生きてくんやね』

ジェイド「そこまで気を張る事もないですよ

オクタヴィネル寮の精神(モットー)は「自己責任」ですからね」

『…せやね』

ウチは何となく暗い心を持って、その暗い雰囲気に呑み込まれてしまいそうになっていた