ウチとアンタと、キミの言の葉3 (ページ32)

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第125話ページ32

『…顔とか他の所とか怪我しとるからなぁ

ちょいと今日の体育で張り切り過ぎたんや』

何や兄ちゃんから「血の匂いがする」って言われてもうて、別に隠す事でもあらへんし素直に今日の昼の前の出来事を伝える

っていうか顔とか絆創膏貼っとるんやから気付くやろ

レオナ「その時の血の匂いじゃねぇよ

テメェ、今朝から血の匂い滲ませて登校してただろ」

『…何て？』

今朝？

いや、きっとそれは気のせいやろ

ちゅーかそれだとウチが人殺したみたいな感じになるやん

レオナ「生きた人間の、それも女の血の匂いを今朝から感じている

テメェ以外にそれが当て嵌まる奴他に誰がいるんだ」

『…いや、待ってや兄ちゃん

そのお鼻にそない自信あるん？』

レオナ「獣人は鼻の効く種族だ

大概は外れねぇよ」

『…そら初耳やわ』

ほんなら多分本音でウチにそう言ってるんやろね

けどウチから流れた血って、多分耳から流したあの血の事やけど、ホンマにそれでウチ個人を特定したって言うんやろか

どない鼻が良くてもそれはあまり信じられへん

てか、仮にそれが本当の事なら逆にちょっぴり怖いで

『…多分耳から流した血やろ

昨日耳に穴開けとるん』

レオナ「…あ？…耳？」

『昨日ウチの耳にピアス開けてるんよ

ほな、これ』

そう言って耳の昨日開けたファーストピアスを見せる

兄ちゃんはそれを見て、何か言いたげにじっと見てはる

レオナ「…」

『…信じてくれた？』

レオナ「…いや、それだけなら別に構わねぇ」

『おん？』

レオナ「もっと他に要因は色々あるだろ

その「他の要因」が血の匂いの根源なら、テメェは少し気を遣えって言いてぇんだ」

兄ちゃんは真っ直ぐな目でそう言いよる

それを聞いてウチは思う

きっと兄ちゃんが言いたいんは「月のもん」の事や

『…多分ウチがそれで兄ちゃん達に面倒かける事はないと思うで？』

レオナ「…あ？」

『ウチのお腹いっぺん切れとるんよ

せやから、「それ」はウチには来ないわ』

レオナ「あ…？」

『だから、下手に気遣わせてもうたんならむしろウチが謝るで

ごめんやで』

レオナ「…」

ウチはシラけてもうた空気の中で、兄ちゃんに少しだけ悪い事したな思て俯いていた