ウチとアンタと、キミの言の葉2 (ページ38)

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第83話ページ38

ジェイドside

ジェイド「…成る程

つまりは魔法で危害を加えられた可能性はあるものの、症状として何も出てはいないから何も言わずに黙っていたと？」

『…ちゅーか兄ちゃんらに言わんでええって思ってたからな

気になる事はスッキリさせたい思うねんけど、そこで別に兄ちゃん達に「知って」もらいたいとは一つも思てへんねよ

そこは分こてもらえるとウチも助かる』

彼女は予測不可能な人間だ

人間は脆い生き物

そして女性という生き物は通常自分の弱みを盾にして自らを正当化する実に弱い生命体

だけど彼女はそのどちらにも微妙に当て嵌まらない

誰もが理想とする本当の意味での「穢れのない」存在とは言えないものの、彼女には「信念」がある

つまりは「高潔である」とは言えて、それ故に「強い」

強さが故に決して他人に弱みを見せつけないで自らの力で立ち続ける「芯」を僕は認める

ジェイド「…ですが相手の名前を聞けているのであれば、本人から直接聞き出す事ができますね」

『…おん？』

ジェイド「僕が貴方に代わって直接彼と「お話」をしてきて差し上げますよ

対価は別に求めていませんから」

『…何やそれ逆に怖いで

報酬が弾むから自分でやる言われる方がまだ聞いて信頼できる話や』

でも稀に信念が「歪曲している」と感じさせられる時もある

芯があるのに歪んでいる

そこが愉快と思う反面で、それ故の障壁を感じる事もある

ジェイド「でも貴女には支払う事のできるものは何もないのでしょう？

ですがそうですね、貴女の「時間」を少し頂いても良いなら対価はそれで手を打ちます

明日もまた、フロイドと僕に「時間」を差し出してください」

『…何やそれ、いつもと同じやん

ウチもそれを対価に支払ってるなんて全く思ってへんで？』

笑って彼女は言う

僕が彼女に抱く感情は「好意」、あるいは「恋慕」だとか「友情」ではない

自分の「好奇心」を満たしてくれる都合の良い「おもちゃ」で、それ以上にもそれ以下にもならない

彼女の敵を僕が祓ってやろうと思えるのは、「自分のおもちゃを他人に奪われたいと願わないから」で、彼女の心配をしてやるのは「簡単に壊れてしまっては都合が悪いから」

それ以上でも、それ以下でもないのに

『…けど、おおきにな』

そうやって言って笑う貴女に、近付いて優しく接してみたいと思うのは、本当に僕の「好奇心」が故なのでしょうか－－－－？