ウチとアンタと、キミの言の葉2 (ページ15)

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第60話ページ15

盧笙side

盧「…俺が誰か分かるか？A」

『…おん…？…悪いねんけど今目が見えへんねよ

ちぃと目に血が染みてもうてな…』

その時俺はAの顔が笑っているのを初めて見た

簓によう似て、微妙に薄い笑みを浮かべる女や思うようになったんはそれがきっかけやろか

盧「盧笙や

簓とネタ組んどった時にお前も家いたやろ？」

『…おん…？』

俺とAはそれ以前は別に大した話もしてへんでいたから、Aからしてみれば俺の存在なんて影の薄いものやったんやないかって思っとった

けど存外Aは俺の存在をその中に留めていたみたいで、俺がそう言ったらまた笑て名前を呼ぶ

『…あぁ何や、あれか

躑躅森さん…やったっけ』

盧「盧笙でええ

こない所で何してはるんや」

『…いんや、そこの恐喝紛いの事してウチの同級生に集る兄ちゃんシバいたろ思て啖呵切った所まではええんやけどな…

ウチ喧嘩なんてした事あらへんから、もうちょいで殴り殺される所やったんね』

盧「…ッ…！！」

何そない事あっけらかんと答えてるんや思いながら、俺は訳も分からんで思いのままの言葉をその時は吐いた

盧「アホか！！

喧嘩慣れもしておらんのに何自分で喧嘩に首突っ込む真似してはるんや！！

女の癖に下手に強く出るんとちゃうわ！！」

『…何や女の癖にって

そういうの偏見や言うんやよ、女やって喧嘩したって別にええやん』

盧「…ッ…！！」

冷静な思考でそれを正論と認めるのが癪に触るから、俺は結局否定的な言葉でAを傷付けてまう

けどそれくらいの事をせえへんでいたら、きっとAは俺に心を開く真似はせえへんでいたんやと思う

あいつは「自分を怒ってくれる」誰かが必要やったんやって今の俺になら分かるから

盧「…ッ…そない事言うてるんとちゃう！

自分の身を弁えな言うてるんや」

俺は怒って、そのままAが言う事聞くまで説教してはった

その時にビンタしてもうたのは少し悪かったなって、今となっては思うんやけど－－－－