ウチとアンタと、キミの言の葉2 (ページ44)

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第89話ページ44

ジェイドside

『…何でや

ウチの髪はジェイドのと違うやん』

ジェイド「…！」

いえ、確かにそれはそうなのですが

なのに、その言葉に「拒否」の意思の方が勝る

笑っている彼女に対して、「正常に」会話をする事ができなくなっていく

これは一体何の魔法か

好意だとかそういった感情では全くないのに、異常に心動かされて自分が自分でなくなっていく感覚が芽生える

異常な焦燥感と、そして精神が干渉されているようなこの感覚－－－－

フロイド「ただいま〜…って…」

ふとフロイドの声に一瞬だけ正気を戻されていくような感覚がしていく

フロイドもまた髪の短くなった彼女に違和感を覚えているようだ

フロイド「…何してんの？

ジェイド、何が起こったのか言って」

ジェイド「え…」

フロイド「何が起こったの？

髪短くなってんじゃん、茎ワカメの茎ワカメがなくなってる」

『…茎ワカメの茎ワカメって何や

ウチは元から茎ワカメやないって』

彼女はふざけた調子で笑っている

まるで僕達2人を意に介していないかのように、自分は自分でいるという事を示すかのような態度で

『…ジェイドもフロイドも、課題はやったんか？』

フロイド「は…？」

『…遊ぶんは別にええんやけど、やる事はやってから遊んだ方がええんとちゃうのん？

ウチの事ばっかり構わんで、課題でもやってはよ寝や』

フロイド「…」

フロイドも無言になってしまいました

彼女は微妙に僕達と距離を置きたがっているように思える

何が原因か、あるいはそれは本音か嘘か

ジェイド「…僕達の心配をしているのであればお気になさらず

僕達は貴女よりは勉学に関して「まとも」ですから」

『…そらそうやろな

ここの生きもんとして今まで生きとるんやから』

ジェイド「であるとすれば、貴女が僕らより優位に立ったような物言いをしているのは不躾というものです

余計な事を言うくらいでしたら、僕達の言う事を聞いて」

『…何を聞けばええんの？』

彼女はやはり笑ってそう言っています

ジェイド「…その髪を、戻させてください」

そう言って僕は、彼女の意向も聞かずにマジカルペンを振り翳していました