もっと溺れちゃえばいいのに(桃)

４．オルスバン。 ページ4

さとみside.

用事があるから、今日はちょっと早めに起こす。

さ「A。起きろー」

『んん…おはよ…』

さ「おはよう。今日ちょっと仕事行ってくるな。悪いけど帰りは遅くなる。ジェルと莉犬が来てくれるから言うこときくんだぞ？」

彼女の寝ぼけた頭ではまだ理解が追い付かないらしい。

まぁ、楽だから良いんだけど。

さ「あ〜…取り敢えず着替えるか。」

『うん！』

着替えさせる間もご飯もいつも通りで、今日は大丈夫かななんて思った俺がバカだったかもしれない。











さ「それじゃ、行ってくるからな。」

ジェルと莉犬が到着し、出発。

玄関でいってきます、と行った途端やっと彼女の頭で理解が追い付いたらしく泣き崩れながら必死に俺にすがり付いてきた。

やっぱりダメだったか。

『やっ、やぁあ”！！いがなあ”で！！やだぁ！！』

ジ「A、落ち着き！さとちゃん困ってまうで！」

莉「今日だけだから、ね？」

『やぁあ”あ”！！さと、ぐ、いがな”あ”！！』

力のない足でこちらに歩き始めた。

これ以上いると動けなくなる。

早めに出よう。

さ「ジェル、莉犬Aのこと頼んだぞ。A寂しかったら電話していいから。な？」

『やだっ！やだやだぁ！！さと、く、やぁあ”！』

ジ「Aちゃんのことは任しとき！」

莉「さとみくん、大丈夫だから！行ってらっしゃい！」

さ「あぁ。ごめんな。いってきます。」


バタン、とドアを閉めてもなお聞こえる泣き声。

都合のいい洗脳も、時には都合の悪いものに変わる。

でも、それだけ俺に溺れてるってことだもんな…？







それだけで、俺の独占欲は満たされていった。

5．ゴメンナサイ。→←3．ドロドロ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す