もっと溺れちゃえばいいのに(桃)

25．あと少し ページ25

Aside.

あたまいたい…

一缶開けたら、もっともっとって求めちゃって沢山飲んじゃった。

お陰で頭がすごくいたい…ベッドから動けないし。

でも、大丈夫だよね。さとみくんが手伝ってくれるから。

さ「Aー。平気か？」

『むり…あたまいだい…』

さ「だよなぁ…。二日酔いの薬持ってきたから飲んでな。」

『ん…。』

のそりと起き上がって、薬を受け取る。

ぐいっと飲み込むと、頭の痛みは増し、ずきずきと痛む度に体の力が抜けていくような感覚になる。

あれ…

『さと、みく…』

さ「おやすみ、A。」

その声を最後に、私は意識を手放した。


＿＿＿
さとみside.

はぁ…やっと寝てくれた。

まさか、睡眠薬使うまで寝てくれないなんてな…。

さすがにそれは予想できてなかった。

さて、着替えさせるか。

この間遠出したときに買った、真っ白なくるぶし丈のワンピース。

綺麗な茶髪にさくら色のリボンを結び、ハーフアップにする。

彼女を抱き上げ、呼んでおいたタクシーに乗せる。

彼女をのせ、俺も荷物と一緒に乗り込む。

さ「この近くのバス停まで、お願いします。」

運転手「はい。」

部屋のカーテンを締め切っていて気づかなかったが、まだ空は暗い。

スマホの時計を見ると、午前０時と出ていた。

こりゃ運転手さんも疲れた顔してるわけだ。

バス停に着き、指示された金額をだす。

荷物と彼女を抱き抱え、運転手さんの横を通る。

乗るとき運転手に「彼女はどうしたのか」と聞かれたから

病院に行く途中だが風邪をひいていて歩けない

と言う旨を伝えたら、すんなりと通してくれた。

酒を飲ませたのはこの為でもある。

あまりにも計画通りに進みすぎて自然と口角が上がる。

さ「あとちょっとだからな、A。」

まだ起きそうにない彼女に呟くと、すこし顔を緩ませた気がした。

26．もう少しで。→←24．カウントダウン

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す