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29 夢 ページ31

夢を見た。
それはまだ父も兄も家にいた時の事。

兄は剣術の才能があった。それは子供のAでも十分に理解出来る程だった。なかなか全集中の呼吸が出来なくて苦しくて泣いてしまっていた時も、真っ先に来て慰めてくれたのは兄である心久吏(みくり)だった。

父と母はいつも厳しく、剣術も全集中の呼吸も上達しないAに辛く当たった。
その度に兄は優しく呼吸法のコツなんかを教えてくれた。兄のお陰でみるみる上達していくAを見て兄はある日を境にAと関わるのをやめてしまった。

Aは最初から月の色の瞳をしていた訳では無い。ある日のいつもより大きな満月の日、その日一日目が痛いと寝込んでいた日があった。その次の日にAの瞳の色は変わっていたのだ。父と母はより一層剣術と呼吸法の鍛錬に厳しくなったが、昔程強くは当たらなくなった。

今思えば六条家として強くなくてはならない、産屋敷家に何かあれば鬼殺隊は六条家が一時的とはいえ引っ張らなければならないので、その重圧のせいなのだろうと理解は出来るが子供の頃はそれが分からなくて大分心も荒れていた。

そんな時に出会ったのが耀哉で、Aの唯一得意な陰陽術を披露してよろこんで貰えたのがとても嬉しかった。耀哉と沢山くだらない話から産屋敷家や六条家の話、耀哉の理想の話等沢山して、Aは耀哉の友人になろうと思ったのだ。

それを遠くから見ていた兄 心久吏はよく思わなかった。剣術の技術も越えられ、陰陽術は元から勝てない、そして産屋敷家の当主である産屋敷耀哉と親しそうに話すAを見て自分の運命を呪った。
自分はあくまでAが六条家の当主になるまでの踏み台で、Aが家を継げば自分は用無しになる。そんな人生は御免だ。

その時だった。鬼である上弦の一 黒死牟に出会ったのは。

黒死牟と取引をし、六条家を滅ぼせたら鬼として向かい入れようと言われた。そしてAが身体に傷後だらけの少年と出会ったその日の朝方、父を殺 した。

母とAは殺 せなかった。母は六条家の存亡として、Aは自分の後ろを着いてくるあの頃の姿を思い出し、Aを愛してしまった。

兄弟としてあってはならないのに。
そうだ、自分が鬼となって大きくなったAを迎えに行こう。強くなったAであれば無惨様も黒死牟様もAを認めて下さる。

そしてあの日Aと心久吏は出会ってしまった。

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冴輝(プロフ) - 小雪さん» 誤字の連絡ありがとうございます。宜しければどこの部分に誤字があったか教えて頂けますか? (2020年4月21日 18時) (レス) id: cfad016dbd (このIDを非表示/違反報告)
小雪 - 陰(いん)でわなく隠(かくし)だと思います。後処理隊は (2020年4月21日 17時) (レス) id: 348cf1e7b1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:冴輝 | 作成日時:2019年10月4日 4時

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