Victim of Fate

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第37話ページ39

一郎side

一「…中途半端、ですね、拓斗さん…」

婆「…子供に自由に育ってほしいというのは拓斗さんの本心だったと思いますよ

親の柵にも世間の柵にも左右されずに、子供にくらいは生きたいように生かしてやりたいって常々言ってましたから…」

なぁ、拓斗さん

だったらあんたの子供俺らが自由奪っちまって良いのかよ

あんたの願い叶えてこの子の生きたいように生かす手伝いしちまったら、結局俺らが自由奪う事になるじゃねぇか

分かりづらいんだよ、拓斗さんはいつも

一「…Aが本気で俺らの所にいたいと願ってるなら俺らはそれ聞きたいと思ってるんですけど…

あなたはそれで良いんですか？」

婆「良いですよ、もちろん

それがA君の願う事であり、A君がそう生きたいと願うなら拓斗さんも反対しないはずです」

一「…そう、ですか…」

俺らは、どうすれば良い？

Aの幸せを願うために、Aの願いを聞いてやるべきなのか？

それとも拓斗さんが望んでいなかった「子供が親に縛り付けられて生きる」選択を取らせないために、手を引くべきなのか？

この子にとって正しいのは結局－－－－

一「…拓斗さんに後で謝ってきます

あんたの願い、きっと叶えてやれそうにもないって

俺らはAの幸せ優先します」

婆「それで良いと思います

…では、A君をお願いしますね

後日色々A君の私物お渡ししに行きますから」

Aのおばさんはそう言うと改めて「すみません」と言って俺に謝るように依頼してきて、俺はそれに「こちらこそすみません」と言ってAを引き取ると言って電話を切った