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第21話 ページ24

左馬刻side


そして簓の妹の横で、まるでかつての時間を取り戻すように俺と簓は色々な世間話をした


互いに今どう生活しているかだとか、ディビジョンのチームのメンバーの事だとか、最近互いの地で起きた事件だとか下らねぇ事を延々と


簓「…左馬刻、おおきにな」


左「…何テメェが俺様に感謝なんざしてるんだ

きめぇわ」


簓「…」


当たり障りのない話ばっかりを浮かべて、真髄に触れないのは俺らの元のあり方が原因だったのかもしれない


元から俺もこいつも互いを仲間だとは思いながらも、関係としては極めて薄っぺらい関係だ


愚連隊を率いていた時の仲間、でなければ一時的にチームを組んで戦った戦友


それ以上にもそれ以下にもならないような仲間で、これからを共にする仲間だとは言えないような過去に全てが終わった関係であると自覚していた


簓「…」


だけど俺の発した一言で簓が傷付いているような顔を浮かべて、乱数の言いたい事が確かに少し分かってくるように思える


不安定な時に誰を頼ったら良いのかも分かっていないような、不器用で表面的に良い顔を浮かべても中身までは誰かに信頼を預けられない臆病な男


基本的に他人の事を理解したくて、他人を好きでいる事に喜びを覚えて、自分を理解してくれる存在が常に近くにいる事に居心地の良さを感じる男


そして他人と理解し合える事自体がこいつの幸福である事


他人からの理解も求めなければ他人を理解する事そのものが嫌いな俺とは違う、笑っている事がトレードマークのような男だと俺自身よく知っていた


左「…シケたツラしてんじゃねぇよ

笑えや」


簓「…!」


左「別にテメェのために見舞いに来た訳じゃねぇわ

テメェの妹がどんな女か気になったから来ただけで」


簓「…」


そう伝えると簓は控えめに笑って、やがてぼつぼつと話す


簓「…めんこいやろ?

俺の自慢の妹やで、俺の渾身のボケに本気でツッコミ入れるようなようできた妹や」


左「…そうかよ

テメェみてぇな奴が2人もいると思うだけで地獄絵図だわ」


その後も蟠りを解くように、時間をかけて舌が渇くのではないかと思うくらいに、長い時間病室で話を続けていた

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ユウ(プロフ) - どんさん» どん様、コメントありがとうございます。本日イメージイラストをアップロード致しました。概ねこのようなキャラデザインであると思っていただければ幸いです。 (2021年7月26日 21時) (レス) id: 8279a81388 (このIDを非表示/違反報告)
どん - 夢主人公のイメージイラストが見てみたいです (2021年7月26日 7時) (レス) id: 2a665cb182 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユウ | 作成日時:2021年7月24日 21時

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