ウチとアンタと、キミの言の葉

第12話 ページ15

簓side


簓「…A、土産買うて来てるんよ

東都くんのマスコットやろ？ご当地の東都くんマスコットがおったからトウキョウのとオオサカの2つ買うて来てるんよ

どっちがええ？って聞いて、片方は俺が自分で使う予定やった…」


泣くな、いつもと同じように笑え、って自分に言い聞かせても、そんなん無理やって俺の中の弱い俺は言う


何を失っても、両親が離れ離れになって行ったとしても、たとえ仲間が離れて行っても、仲間と喧嘩して別れても


こいつだけは自分の前からいなくなる事はないって、そう今まで信じて生きていたのに


簓「…ッ…なぁ、何やっとるんや

おかえり、って、どない姉ちゃん誑かしてきたんやって、いつもみたいに減らん口叩いてや…」


涙が溢れてきて、止まらんくなって、普段から俺はベタベタAに引っ付いてちょっかいかけるけど、この日はいつもと違くて縋り付くみたいにAを抱きしめていた


簓「…なぁ、今日は「セクハラや」って、俺に塩対応せぇへんの…？」


返って来る言葉なんてないのに、いつもの調子で語りかける


そして俺の中に、だんだんAが目を開けてくれない事を受け入れていかなければいけないという現実がのしかかって、見るべき世界が濁って前が見えなくなっていく


簓「…なぁA

普段は俺小っ恥ずかしい事言わへんねやけど、俺はAの事大好きで失いとうない可愛い妹や思てるんよ

…早く帰って来てや」


その日は俺もメンタルがボロボロで、まるで逃げるように病院から家に向かって帰って行った

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