XII ページ12
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キラキラとした女の子達、綺麗なカクテル、それに見惚れる客共、この空気感はなんだか薬 物のようだ。甘くてドロドロとしたものを口から注ぎ込まれて、体内でそれは毒になってしまう。でも、しばらく注ぎ込まれているとそれは気持ちの良いものに変わる。
「こんな感じなんだ」
「そ。案外稼ぎはいいし、嫌なことはぜぇーんぶ忘れられちゃうっ!いいとこでしょお?」
魅力的で色気のある可愛い笑みは、女の私でさえ心臓がきゅんっとする。
そんな彼女が持つグラスの中には三日月を硝子玉に閉じ込めたような綺麗な色をしたシンデレラが半分ほどあった。
お酒に強い彼女が、どうしてノンアルコールを飲んだのかと思ったのが顔に出ていたのか、先程彼女は私に理由を述べてくれた。
オレンジジュース、レモンジュース、パインジュースを混ぜ合わせて作っているので甘い飲み口で女性が好むと言う。それに、女の子は見な憧れるであろうプリンセスのように、お酒に頼らずとも舞踏会を楽しみたいという願いを叶えてくれるのは、確かにシンデレラにかけた魔法のようだ。
彼女もまた、プリンセスのように美しい。
「誰に見とれてたのぉ?」
「なる、あなただけど。」
「うっそぉ!狙われてるっ?」
でも、Aちゃんなら全然いいよぉー、なんて可愛らしく言うものだから本当に私が食べてやろうかなんて思ってしまう。
そんな彼女がスっと私に差し出してきたのは、度数が高い透明色したウォッカマティーニ。
カクテルの王様、と呼ばれるマティーニはバーテンダーの数だけ種類がある、なんて呼ばれるほど力量がはっきりとでるのだそう。ウォッカとドライ・ベルモットで作られたので、辛口で飲みやすいといえば嘘になる。映画でのセリフが流行してからは、ステアでなくショートで出すバーはここ以外にも沢山あるらしい。
どちらのカクテルも今の自分に必要なもの、それを喉から体内へと流し込んでいくのだ。
薄暗い照明と、恋のバラード曲が流れるこの場所は、いつのまにか居心地のよい場所へと変わっていた。胃の中も、随分と甘くなっている。
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湯木(プロフ) - ゆうひさん» 返信有難うございます( ;; )本当の事ですよ!この小説の設定が私の性癖に刺さりすぎて辛いです.......季節の変わり目で風邪の引きやすい季節になってきているのでゆうひさんのお身体に負担がかからないぐらいで更新頑張ってください!応援してます! (2019年5月24日 23時) (レス) id: 8f94a810be (このIDを非表示/違反報告)
ゆうひ(プロフ) - 湯木さん» 飛んできてくれてありがとうございます~!!私が銀魂夢を書き始めた頃からお世話になってる愛しのお友達ちゃんです笑エモさを感じてくれてめちゃくちゃ嬉しいです~!!!!ワー!!本当のことならば幸せです… (2019年5月24日 0時) (レス) id: cee43a9737 (このIDを非表示/違反報告)
湯木(プロフ) - 堕天使さんの所から飛んできました!堕天使さんの作品を読む前に題名が目に付いて後で読もうと思っていたのですがまさか堕天使さんのお友達だったとは!!ほんとにエモくて死にそうです.......。類は友を呼ぶって本当なんですね! (2019年5月24日 0時) (レス) id: 8f94a810be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆうひ | 作成日時:2019年5月19日 23時