XXI ページ21
-
目の前に広がるのは、少し前に見ていたものよりも透明度が低い。その先に何かを見させることは無い、白。そこがどこかの病室だと気づくのは、視界がハッキリとした時だった。意識をなくす前の記憶は、嫌という程ハッキリ覚えている。抜けているところなんてなく、映像となり私の頭で永遠に繰り返されそうだ。そうやって、ゆっくりと今の状況を思い出していた。その時、横でガタリと音を立てながら「あ!」と誰かが声を上げた。
「大丈夫ですか!?」
「大丈夫かと言われても、何に対してなのかさっぱり」
私の身体を心配しているのか、精神的な心配をしているのか、どちらもか。
そもそも、この少年は誰なのか、というところから話をお聞かせ願いたいところだ。そんな感情を受け取ったのか、眼鏡をかけたその少年は「すいません」と申し訳なさそうに笑った。
「昨日の夜中に男に斬られそうになっていた貴方を助けたのが、うちのものでして。様子を見ておけと言われてここに居るんです。」
「はぁ」
私を助けたのは、銀色の髪をしたあの男のことを指しているのだろう。顔も鮮明には思い出せないが、銀髪に赤い髪をした男だった。顔が整っていたとかは覚えていないが。
鮮明に覚えているのは、私を殺そうとしたあの化け物の方だけらしい。
「身体もですが、精神的な方でも、大丈夫ですか?」
「大丈夫なのか分かりません。でも、意外と冷静です。」
「はは、ですよね。すみません、巻き込んでしまって。」
そう言ってまた申し訳なさそうに笑った。その笑顔に申し訳なさを感じて、「運が悪かった、それだけですよ。」そう言って彼よりもマシな笑顔を返した。
「それよりも、そちらの方は大丈夫ですか?」
「あ、はい。生きているので、心配要らないですよ。」
この少年的には生きているか、生きていないかの判断なのか。今までどんな環境で育っていたんだ、と何だかこの少年に対して心配になってきた。
まぁ、いっか。そう思うくらいには、私は優しい人間ではない。基本的に自分の得を考えて生きているのは確かだ。
-
64人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
湯木(プロフ) - ゆうひさん» 返信有難うございます( ;; )本当の事ですよ!この小説の設定が私の性癖に刺さりすぎて辛いです.......季節の変わり目で風邪の引きやすい季節になってきているのでゆうひさんのお身体に負担がかからないぐらいで更新頑張ってください!応援してます! (2019年5月24日 23時) (レス) id: 8f94a810be (このIDを非表示/違反報告)
ゆうひ(プロフ) - 湯木さん» 飛んできてくれてありがとうございます~!!私が銀魂夢を書き始めた頃からお世話になってる愛しのお友達ちゃんです笑エモさを感じてくれてめちゃくちゃ嬉しいです~!!!!ワー!!本当のことならば幸せです… (2019年5月24日 0時) (レス) id: cee43a9737 (このIDを非表示/違反報告)
湯木(プロフ) - 堕天使さんの所から飛んできました!堕天使さんの作品を読む前に題名が目に付いて後で読もうと思っていたのですがまさか堕天使さんのお友達だったとは!!ほんとにエモくて死にそうです.......。類は友を呼ぶって本当なんですね! (2019年5月24日 0時) (レス) id: 8f94a810be (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆうひ | 作成日時:2019年5月19日 23時