検索窓
今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:49,155 hit

過去 ページ6

〜 一年前 〜

母「A、今日お母さん夕方から出かけなきゃだから 早く帰ってお父さん見といてくれる?」

『えぇー、今日 友達にヴァイオリン聴いてもらう約束してるんだけど。』

母「そんなのいつだってできるわよ。
お父さんは少しでも目を離すと危ないの。」

『はいはい。』




父は心臓に持病があり、悪化したため入院を勧められたものの 家から出るのはストレスだと在宅療養を選んだ。

酸素マスクで繋がれた顔はまさしく生きた死人のようなもので、元気など微塵もなかった。




『いってきます。』

母「いってらっしゃい。」




私はいつも通り学校へ向かい、授業を受け 友達と話しながら土手を歩いた。



「ねぇ、ヴァイオリン聴かせてくれないの?」

『うーん...家は近所迷惑になるし...』

「ここの河川敷なら弾いてもいいんじゃない?」

「ホントだ!いいね、ここで弾いてよ! 」

『えぇ...でも...』

「ちょっとだけでいいから!」




ちょっとだけ、その言葉につられ 私はヴァイオリンを取り出した。





〜♬ 〜〜♪ ♬ ♪♪〜〜

息を落ち着かせその音色を辺り一面に響かせた。

土手を通る人は次々に振り返り、感心した顔で立ち止まる。







『ふぅ!どうだった?』

「やっぱりすごい!時間忘れるくらい!」

「ホントだ!もう暗くなり始めてる!」

『やばっ!』





気づけば時間はかなり過ぎていて、夕日が沈みかけ 辺りは暗くなり始めていた。


私は急いでヴァイオリンをケースになおし、全力で走った。

きっといつものように寝ているだろう、そう思いながら帰ったのに.....





____ピーポーピーポーピーポー


『え.....?』

母「A!何してたの!
今日は早く帰ってって言ったじゃない!!」



家の前に救急車が止まり、運ばれてきた父が乗せられた。担架に乗った父の顔には生気がなかった。




『そんな...お父さ...』








その夜、父は息を引き取った。

夕方 母が出かけた後 いつの間にかマスクが外れ、そのまま呼吸ができず死に至ったようだった。



もし私がすぐに帰っていれば、父は助かったのだ。








『ごめんなさ.....ごめんなさい!...ごめん...なさい』





私はその場に立ち尽くした。

もう父は帰ってこない、その罪悪感やら自分自身を憎む気持ちから 私は二度とヴァイオリンを手にする気になれなかった。

謎の味方→←優先順位



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (35 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
142人がお気に入り
設定タグ:GENERATIONS , 白濱亜嵐 , LDH   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

あおい(プロフ) - 早く見たくなりました (2019年6月19日 1時) (レス) id: 295447971a (このIDを非表示/違反報告)
いくら(プロフ) - ゆーしゃんさん» ありがとうございます。頑張ります! (2019年6月18日 14時) (レス) id: acf637b564 (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - 早く見たくなりました (2019年6月18日 12時) (レス) id: 295447971a (このIDを非表示/違反報告)
ゆーしゃん - すごい面白いです!更新頑張ってください!! (2019年6月17日 22時) (レス) id: 579758a02c (このIDを非表示/違反報告)
いくら(プロフ) - あおいさん» ありがとうございます!更新頻度は低いですが、これからもよろしくお願いします。 (2019年6月16日 22時) (レス) id: acf637b564 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:いくら | 作成日時:2019年5月15日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。