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百弐 ページ27

目を覚ますと、Aは自室に居て。


「おはよう。目が覚めたか」


冷めた目で見つめる月詠がいた。
身体を火照らせる熱と激しい動悸は治まっていた。


「そう言えば、お姉ちゃんたちは帰ってくれたんですか」


Aがそう尋ねると、月詠は目を逸らす。
煙管から灰をかつかつと落とし、ぶっきらぼうに帰った、とだけ答えた。

頬はすっかり冷えている。

(そう言えば、土方さんから治す方法は聞いてなかったけど、なんで私症状がないんだろう)

そんなことを考えていると、月詠は口を開く。



「まあ、なんだ。治ってよかったな」


「どうやったら治ったんですか」



その問いに少しだけ月詠は黙った後、


「寝たら治ったんじゃろう」


と答え、ふうと煙を吐いた。
それは明らかに挙動不審で。


「月詠さん。何か隠してますね」


眉を顰めて月詠を見ると、ばつが悪そうに目を逸らす。

そんな時、Aの携帯電話が鳴る。


「A!元気になったかいのう」


電話越しに聞こえる楽しそうな声。



「坂本さん。お陰様で。ご迷惑をおかけしました」


「問題ないきに!いいもん見れたしのう」



いいもんという言葉に首を傾けていると、携帯電話がまた震えた。



「今送ったメールじゃけんど」


「待って下さい。今から見ます」



携帯電話をスピーカーにして、画面に指を滑らせる。
月詠も画面を見ようと、Aの側に寄ってきた。



「あ、写真付きだ。


.....え、何これ」


「ええ写真じゃろう!」



坂本はまた嬉しそうに笑う。
その画面に映されたのは、姉がAに口付けする写真で。
それを見た月詠は、はあと溜息をついた。

(月詠さんが言いたがらなかったのはこのせいか)

眉を顰めながら、


「これで、あの症状治ったりします?」


と問えば、


「そうらしいのう!金髪の姉ちゃんが言いよったきに!」


と坂本は元気良く答えた。
写真の中の姉は、緊張した顔で美しい横顔を見せていた。

写真を見て、ふとAは思う。



「この写真、お姉ちゃん怒りませんか」


「大丈夫ぜよ!無音で撮ったきの!」


「そういう問題なんですか…」



坂本のばれなきゃいい理論に呆れていると、月詠はあ、と声を上げる。
そして月詠も呆れた顔。


「これ、一斉送信になっておるぞ。…他の送り主は」


と言いかけたところで、






「坂本!!!墓場まで持っていけ言うたじゃろうが!!!!」



と電話越しに聞こえたと同時に、坂本の悲痛な声が響いた。

.

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Nattu(プロフ) - connyさん» connyサン!再度コメントありがとうございます。嬉しいです^^いつの間にか4作目で、私自身いつ終わるんだろこれ…状態なので何シーズン続くか未定です笑 これからも温かく見守っていただけると幸いです* 長きに渡るこの作品を読んで下さり誠にありがとうございます (2021年3月3日 12時) (レス) id: 8022db4695 (このIDを非表示/違反報告)
conny(プロフ) - シリーズ4個目…本当にすごいです…!続き楽しみにしてます!頑張ってください! (2021年3月3日 0時) (レス) id: 712cd20bd6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Nattu | 作成日時:2021年2月25日 21時

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