七十八 ページ3
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「坂本さんが帰る頃には、Aちゃんはもう完全に潰れちゃってて、陸奥さんが背負って帰ってたわよ」
お妙は呆れたようにそう話した。
「もっさんはその時どうしてたアルか?」
「酔っ払ってはいたけど、千鳥足で陸奥さん達と帰っていたわよ。…まあ最後の最後まで、おりょうちゃーんって感じだったけど」
それを聞いて、新八は乾いた笑いをするばかりだった。
悪いことしたわ、とお妙は反省の声を漏らしていた。
「よし!もっさんに一発入れにいくアル!」
神楽は拳を勢いよく突き上げ、眉を上げた。
「ったってあいつらもう空の上だろ?ったくめんどくせえことするなあ」
不意に和室の襖絵が開いて、そこから申し訳なさそうにAは出てきた。
「酔いが覚めました。ご迷惑おかけしました。すみません」
しゅんとしながら、それじゃと帰ろうとするAを引き留め、ソファーに座らせた。
お妙から聞いた話をすれば、Aは縦に首を振る。
そして、また口を開き、
「私が怒ってるのはそれだけじゃないんです」
と不服そうな顔。
かつ、目線を下に向け、黒目を泳がせる。
「それだけじゃないってどういう?」
「それは…えっと…
…私が怒って、飲んで潰れているの分かってる中、
その…
……手を、出してきてたから、です。
…私も起きて、その、事態を把握したというかなんというか…」
空気が一瞬にして凍りつく。
「よぉぉし、神楽、あいつをぶん殴りに行くかあ!」
「行くアルよ!銀ちゃん!」
「ちょちょちょ待って下さいよ銀さん神楽ちゃん!!お酒に酔った勢いでってのがあるじゃないですか!」
「五月蝿い童貞。酒飲むよう仕向けて、事に及ぶことは有罪アルよ」
「童貞って言うんじゃねえええ」
万事屋の怒号は家中に響き渡っていた。
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「のう、坂本。昨晩は何故わしらをすまいるに連れて行った」
陸奥は大きな背中に問いかける。
「すまいるは楽しいところじゃきのう。おまんらにも楽しんで貰いたくて」
「とぼけるな。あのAの顔、見とったろう」
その背中に銃口を突きつければ、坂本は振り向き、歯を見せた。
「その顔じゃ」
眉間に皺を寄せ、睨む陸奥の顔を指挿す。
「わしはAのそんな顔が見たかったんじゃ」
「.....悪趣味ぜよ」
あははと笑う坂本に、陸奥はどこかやるせなさを覚えていた。
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Nattu(プロフ) - connyさん» connyサン!再度コメントありがとうございます。嬉しいです^^いつの間にか4作目で、私自身いつ終わるんだろこれ…状態なので何シーズン続くか未定です笑 これからも温かく見守っていただけると幸いです* 長きに渡るこの作品を読んで下さり誠にありがとうございます (2021年3月3日 12時) (レス) id: 8022db4695 (このIDを非表示/違反報告)
conny(プロフ) - シリーズ4個目…本当にすごいです…!続き楽しみにしてます!頑張ってください! (2021年3月3日 0時) (レス) id: 712cd20bd6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nattu | 作成日時:2021年2月25日 21時