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九十四 ページ19

月詠が呼んだかのように続々と現れる見慣れた顔触れ。
それを見て、万事屋の三人は頭を抱えた。



「Aちゃん」



「A殿じゃないか」



「皆さんお揃いで…」



バレンタインやアイドル活動を共にした女達と、銀時や坂本の旧友。
それと、



「おい、何連絡すっぽかしてくれてんだてめえ」



「あ…やべ」



ぴきぴきと怒りをあらわにする土方の姿があった。
約束していたことをすっかりと忘れてしまい、その場を逃げ出そうとするAの腕を引く。



「待って私バイトしてんですよここで」



「知るか!素直に従え!」



ぎゃあぎゃあと争う二人の目の前に、騒動の中またこっそり逃げ出そうとする男が一人。



「あ…」



土方とばっちり目が合い、男は硬直する。



「A、お前はまたあとだ。まずは…



桂てめぇをしょっぴいてからだ!!」



「まずいっ」



土方は掴んでいた手を離し、桂を追っていった。
騒がしかったプールサイドは途端に静かになる。



「嵐のような人達だったなあ」



「馬鹿が減っただけでも助かったな」



そう言って、銀時はプールベッドに横たわった。

その後、特に問題は起きず、身内も大人しく遊んでいた。
しかし真夏のプールというものは、子供やその親達だけによって使われるものではなくて。



「ったくよー可愛い姉ちゃん居たと思ったら、皆男連れてやんの」



プールサイドはいちゃいちゃと自分達の世界に浸るカップルも多かった。
周りなんか見えていないようで、楽しそうにお互いを見つめる。
そんな甘い世界に、Aは溜息をついた。
それを見かねて、



「あーあ、坂本さんとプールきたかったなぁ」



「ちょっと銀さん」



「って顔してんなお前」



銀時はAを茶化す。
ひゅうひゅうと馬鹿にされ、思わずその場を離れた。


「私、見回り行ってきますから!」


投槍にそう言えば、銀時は耐性ない奴、と口を尖らせた。


.
.
.



プールサイド、サウナ、更衣室と順々に目を通していく。
走る子供達を注意するくらいで、特に何も問題がない






はずだった。

シャワー室に入った時、断続的に流れ続ける水音。


(何よ、出しっぱなしは良くないのに)


水音が聞こえるシャワー室の一番奥に足を向ける。
近づいて、ある音でその足をぴたりを止めた。



「ん…あぅ…」



女の鼻にかかったような甘い声。
個室にかかるカーテンには二つのシルエット。


(これはもしや…)


Aは身を硬直させた。

.

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Nattu(プロフ) - connyさん» connyサン!再度コメントありがとうございます。嬉しいです^^いつの間にか4作目で、私自身いつ終わるんだろこれ…状態なので何シーズン続くか未定です笑 これからも温かく見守っていただけると幸いです* 長きに渡るこの作品を読んで下さり誠にありがとうございます (2021年3月3日 12時) (レス) id: 8022db4695 (このIDを非表示/違反報告)
conny(プロフ) - シリーズ4個目…本当にすごいです…!続き楽しみにしてます!頑張ってください! (2021年3月3日 0時) (レス) id: 712cd20bd6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Nattu | 作成日時:2021年2月25日 21時

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