立花彩、歌い手始めました。【KZ】【utit】

にじゅういち ページ21

彩side



窓の外に太陽が昇り、明るくなってからそこそこ経った頃。
私の鼻に良い匂いが届いて目が覚めた。

重たい瞼を持ち上げる。
そこには見慣れない、白い天井があった。

体を起こすと寝転んでいたソファーがｷﾞｼｯっと小さく音をたてる。
ソファーで寝ていたのだから流石に体が少し痛いがあまり気にならないくらいだった。

するとキッチンにフライパン片手に立っているまふまふさんが此方を向いた。


「あ、彩ちゃんおはよー」
「おはようございます、まふまふさん」


ニコニコしているまふまふさんに私も返す。
暫くして昨日の記憶が甦ってきて、いろんな出来事を思い出す。

と、そらるさんやうらたさんや坂田さんがいない事に気が付く。
まふまふさんに訪ねると「まだ寝てると思うよ」とあっさり返された。


顔を洗うように言われたのでソファーから動いて洗面所に行く。
大きな鏡に映る自分を見てふと思った。


……いつもよりも輝いてるな、って。


うっすらあった隈も消え、髪もツヤツやして、肌や目がキラキラしている。
なんて、言い過ぎかもしれない。

でもそのくらい、私にとって刺激的で良い事だったんだと思う。
嬉しい気持ちでリビングに戻ると、まふまふさんに話し掛けられた。


「彩ちゃんさ、“まふくん”って呼んでよ」
「えっ!?」


突然の事に驚く。
みんな大抵急に言うものだから毎度驚いてしまう。


「いい…ですけど、何でですか？」
「坂田だけあだ名で呼んでもらってるのがズルいから」


あまり意味が理解できなかったが彼がいいのなら、大丈夫だろう。
そう思いながら“まふくん”に言う。


「そらるさん達、起こしてきますね！」
「じゃあ、お願いしよっかな！」


やっと彼といっぱい喋れたと喜びながら、少し迷ったがまずうらたさんの部屋に足を動かした。

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