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お互い打ち解けてきて、
ご飯も終え、お別れの時間になった。
「Aちゃん、LINE交換しよ!」
帰り際、そう言ったのは彼の方から。
家族になるというなら、
きっと連絡先の交換は必須。
心の底では分かっていたけど、
それは果たして許されるのだろうか?と
頭の中で色んな感情がグルグルしていた。
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『一緒に住むわけじゃないんですし、しなくても大丈夫じゃないですか?ほら、今日みたいな家族の集まりの日は坂田さんはお父さんから、私はお母さんから連絡がくるでしょう?』
坂田さんのお父さんとウチのお母さんは
大阪で同居をするが、
坂田さんは東京で一人暮らしをしている。
そうなると家で顔を合わせることもなければ
プライベートでどこか出かけたり遊んだりと関わる機会もないわけだ。
ただのリスナーが妹になるとすれば、
これが最もふさわしいポジションだ。
私はそう思っていた。
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「…なんでや。Aちゃんも東京の高校に進学したんじゃないん?今一人暮らしやろ?」
……そこまで知られてるとは。
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私はワケあって東京の学校に進学して上京した。
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………お恥ずかしいことに推しと同じ
東京の空気を日常的に吸うべく決めた進路。
大した夢もなければ、偏差値もない。
そこらへんにある平凡な学校に通うくらいなら
上京したいなとぶっ飛んだ考えをしてしまった
1年前の私。
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まさかこんな推しと兄妹になるとかいう
マンガみたいな未来が待ち受けているとは…
「てか、学校の寮なんやっけ?門限とか色々不便ちゃう?
Aちゃんも俺ん家で一緒に住んだら?」
………はい?
何を言ってるんだこの人は。
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『坂田さんってなんでそんなに危機感ないんですか?』
「そっくりそのままAちゃんに返すわ、
東京って危ない街やねんで?
15歳の女の子で一人暮らしなんか危なすぎるわ。」
『学校の寮なんて1番安全じゃないですか!』
「そしたら俺が遊びに行けへんやんか!」
『確かに誰も家には呼べませんけど!………ん?』
俺が遊びに行けへん…?
坂田さん私の家に来る気でいたのか?何故?
というか友達ならいっぱいいるはずなのに
どうして私なんかに関わってこようとするの。
『私と坂田さんは、兄妹である前に
推しとヲタクなんです。何回も言わせないで下さい。』
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純白 - めちゃめちゃに好きです。続き楽しみにしてます。頑張ってください (12月28日 18時) (レス) @page32 id: cf53fa4fa8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:やまだ | 作成日時:2023年7月4日 4時