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「そもそも、Aはさかたんが
兄ちゃんになるなんてさ、
知らなかったわけでしょ?」
『…それはもちろんそうですけど、
でもそんな話じゃ』
「親の再婚事情でAが
責められるって何それ?って感じじゃん。」
『……まあ、そうなんですけど、
うーん、私が坂田さんのリスナーだから』
「だから何?」
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「Aはさかたんのリスナーだから
義理の兄妹になっちゃダメなの?
それとも義理の兄妹だからリスナーを
辞めなきゃいけねえの?」
………言葉に詰まる。
「それはさー…、違くない?」
違うって思ってる。
思ってるけど、仕方ないって、
そう思わざるを得ないんだよ。
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『正直さ、Aはどう思ってんの?』
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『私が坂田さんのリスナーじゃなくとも、
炎上してたことは確かだろうけど…
でも私がリスナーじゃなければもう少し
違った未来だったのかなって思うと
坂田さんのことを好きになってしまった自分が
間違いだったのかなって思っちゃって。』
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そんなこと思いたくないのに、
言いたくないのに。
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私は間違いなく
坂田さんの声に、笑顔に、人柄に、
救われてきたのに。
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『でも、今までの全部、
間違いだったなんて思いたくない…』
気がついたら、
涙は溢れて止まらなくなっていた。
キヨさんはそんな私を見て
面倒くさそうにするでもなく、
同情するでもなく、
ただ、微笑んでくれた。
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「さかたんとAがいいと思う答えを
出せばいいんじゃないのか?
まー、家族の問題になってくるしさ、
俺はどうこう言える立場じゃないけどさ?
でも2人の友達として言わせてほしいのは、
お前らを傷つけたい一心で
変なこと言ってくるような奴らの
言葉になんか耳貸すなよ。」
もっと、お前らを大切にしてくれてる人に
目を向ければいいんだよ、とそう言った
キヨさんの声はとても優しかった。
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きっとキヨさんも
今までたくさん悩んだり傷ついたり
してきたのかな。
ご飯に連れ出してくれたのは
そんな経験があったからなのかな。
本当のところは分からないけど、
なんだかそんな気がした。
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『キヨさん、
本当にありがとうございました。』
「いーっていーって、
次100倍で返してくれたらそれで…」
『え?』
冗談冗談!と笑うキヨさんは、
いつもの眩しい笑顔だった。
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純白 - めちゃめちゃに好きです。続き楽しみにしてます。頑張ってください (12月28日 18時) (レス) @page32 id: cf53fa4fa8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:やまだ | 作成日時:2023年7月4日 4時