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「そういやさ、」
不貞腐れていた坂田さんが突然、口を開いた。
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「そんなクルンクルンなん、さ、
なんか俺初めて見たし… めっちゃ可愛いけど…」
何だかモゴモゴと喋り、
恥ずかしそうにしている。
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「その初めてを見んのがキヨのイベントかぁ…って」
「なんかちょっとヤキモチ…やいたかも。」
なんて言ってへらりと笑った彼の顔は
暗い夜に溶けてしまいそうなくらい
儚くて、綺麗だった。
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坂田さんにこんなこと言ってもらえるなんて…
私は頭の中で坂田さんの言葉を反芻していた。
急に困るよな!ごめん!
ちょ、やっぱ今の忘れて…と
焦ったような彼の声でハッと我に返る。
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「今度、坂田さんのライブ行く時に
もっとスペシャルなヘアメします。」
今日のヘアメですら、
似合うかな?大丈夫かな?
なんて不安だったのにな。
あまりにも単純だ、
気づけばその言葉が口をついて出たのだから。
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「え〜?ほんまに!?
そんなんめっちゃ楽しみやねんけど!」
さっきまでの暗い顔とは打って変わって
嬉しさが隠しきれない!という顔の坂田さん。
何もかも顔に出てしまう坂田さんが
あまりにも可愛くて辛い。
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「あ、それともう1個言いたいことあってんやった」
「今からキヨんとこに顔出しに行くから
Aちゃんも一緒に行こ!」
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「え?」
「いや、仮にも私キヨさんのファンとして
今日ここに来てるんですよ…?会えないですって」
お決まりの断り文句で
その場を切り抜けようとしたが、
会えばAちゃんも
推しか推しじゃないかハッキリするやん?
なんて意味の分からない理由に押されてしまった。
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押しに弱いのは、私の悪いところだって
分かってるのに結局押し負けてしまうのは、
その相手が坂田さんだから?
それとも会う相手がキヨさんだから?
どっちなんだろう。
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純白 - めちゃめちゃに好きです。続き楽しみにしてます。頑張ってください (12月28日 18時) (レス) @page32 id: cf53fa4fa8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:やまだ | 作成日時:2023年7月4日 4時