急に推しが私のお兄ちゃんになった話。︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ -tonarinosakata- (ページ23)

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手を引いていた人物を見上げると、
それはやっぱり坂田さんだった。

「ど、どうしてこんなところに？」

沢山の人がいたとはいえ、坂田さんは
明らかに今日友人のイベントに来た関係者
なんだろうなというオーラが隠しきれていない。

誰かに見られてはいないだろうか？
坂田さんに迷惑がかからないだろうか？
そんな不安ばかりが頭の中を駆け巡る。

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「なんで俺に教えてくれへんかったん？」

と、少し拗ねたように
こちらに問いかける坂田さん。

今日イベントに付き添いで行くっていう話は
朝坂田さんにしたはずなんだけど…、
もしかして寝ぼけてて覚えてないのかな？と
思い、そのことを話そうとしたが、

「もー、そうじゃなくて……。」

と遮られてしまったので
それではなかったみたいだ。

じゃあ一体、
坂田さんは何のことを言ってるんだろう？

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「なんでキヨのこと好きって、
俺に教えてくれへんかったん？」

この言葉だけ聞くとまるで
恋人に対する嫉妬のようなものに
都合よく置き換えてしまいそうになるが、
きっとこれは坂田さんが前に言っていた
メンバーに妹を取られちゃうかも！という
兄としての嫉妬なのだろう。

「………坂田さん以外にも推しを
見つけてみようかな〜なんて思っちゃったり
しなかったり？なんです。だからまだキヨさんは
推しってハッキリしたわけじゃないっていうか…」

しどろもどろでハッキリとしない私を
見つめる坂田さん。
あまりの眼差しに射抜かれてしまいそうだった。

「なんでよ…。俺だけでいいやんか。」

全世界どこ探しても、
坂田さんから直接目を見てこんな言葉を
かけてもらえる坂田家いないんじゃないか…？

幸せで死にそうだよ。

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「で、今日キヨのこと初めて見てどうやったん？
俺よりカッコよかった？俺より好きになった？」

あまりの質問攻めに驚く。

「とっても素敵な人だな〜って思いましたよ？
坂田さんより好きになれるかはまだ分からないけど…
なれるかもって初めて思えた人です。」

そんな私の回答が面白くなかったのか、
ふーーーーん、とそっぽを向く坂田さん。

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ダメだ、坂田さんのそばにいたら
もっと好きになっちゃうって分かってるのに。

そばにいたいんだもん、どうしようもないや。

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