1:春の日 ページ2
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暖かくてうっかり眠ってしまいそうな春の日。
いつもなら気分がいいはずなのに、今は少したりとも気分は良くない。むしろ悪いぐらいだ。
何故だろう、考えてみれば理由は1つしかない。
惚れた女と今日が離れる日だからだ。
惚れた女____新開A。
俺が江戸に出てきて万事屋を立ち上げた時からの仲で、俺の理解者でもあり、好きな人。
そんな彼女が今日、万事屋からいなくなるのだ。
理由は結婚するため。
寿退社、めでたいはずなのに俺にとっちゃちっともめでたくない。むしろ最悪だ。
別に万事屋をやめなくたっていいのに、婚約相手が京都に出張があるためそれに着いていくのだとか。
今まで色恋沙汰なんて匂わせなかった彼女から好きな人がいる、ではなく、何個か飛び出したまさかの結婚報告。
結婚する前に付き合っている人がいるとか報告しとけよ、と思うものの、それを言わないのも彼女らしい。
そして今は彼女の引越し準備の手伝い中。
何とも複雑だ、惚れた女の結婚のため引越しする準備を手伝うなんて。俺だって嫌に決まってる、こんなの。
いくら彼女が俺が好きだということを知らないとしてもあまりにも酷だ。
はぁ、とため息を着いて頭を抱え、この行き場のない感情をどう処理するかを考えることにした。
「銀ちゃーん、何ぼーっとしてるネ!
早く動けよ、このプー太郎が!」
「うっせぇ!!今動くわ!!」
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作者名:しゃしゃねこ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=80052c2ded6763cad9b2f669385f5dbf...
作成日時:2018年6月30日 19時