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それにしても、さっきからどこもかしこも弔さんへの殺気だらけで気がおかしくなりそうだ。
ここまで大規模な組織でこんなに統率が取れているなんて、本当に宗教じみているなと改めて感じつつスピナーさんから借りているナイフを振り翳す。
そろそろ弔さんは無事にタワーにたどり着けただろうかと考えていたその時、一際強い殺意の塊がこちらに向かってきているのを感じた。
「…？」
一体何者かと警戒しながら殺意の方を向くと、解放戦士たちの中に信じられない人物がいた。
「ハルちゃん…？」
そこにあったのは、中学卒業以来会っていなかった幼馴染みの姿。
人違いと思ったけど幼少期からずっと見てきたその姿を見間違えるはずもない。
相手も私に気づいたようでカッと目を見開きそのまま一直線に歩み寄ってきた。
「止まれ！」
最後に見た時と違うのはその身に纏った高校の制服だけ。
なのに何故か彼女が恐ろしくなって制止を求めると意外にも彼女は素直に歩みを止めた。
「…A」
私の知る明朗快活という言葉が似合う彼女とは思えないほど、か細い声でそう呼ばれる。
「…元気だった？」
間違いなく異様な殺気を放っているのは彼女であるはずなのに、世間話の常套句みたいなことを言い出したものだから一瞬奇怪なものを見る目をしてしまったと思う。
「うん、……そっちは？」
どんなテンションで応えればいいのか、ハルちゃんはいま何を考えてるのか。
わけがわからなすぎて、危険物を取り扱っていような緊張感に襲われる。
様子がおかしい幼馴染みに刺激を与えないよう慎重に言葉を選ばなければ。
「……」
「…えっと、なっちゃんとアキちゃんは？一緒じゃないの？」
ハルちゃんはいつも幼馴染みたちと一緒にいた。
中学を卒業した後も3人が度々遊んでいるらしいのはメッセージで知っていた。
「……ょ」
だから世間話の延長でそう聞いたつもりが、彼女の中のスイッチを入れてしまった。
「死んだよ。2人とも」
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作者名：さかさま | 作成日時：2022年4月20日 22時
