【ヒロアカ】死柄木弔の忠犬５ (ページ6)

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「お前はここに残れ」

司教役である花畑をスピナーさんに任せて進み続け、ようやくタワーまでもあと1kmをきったところで弔さんは私に向かってそう言い放った。

「なっ…なんでですか！」

いざタワーにたどり着いても中で何が待ち受けているかわからない。
ここまで来たなら私も共に行くつもりだったのに。
納得できないと声を上げると弔さんは至って真剣な眼差しで続ける。

「ボスには俺がケリをつける」

だから私はここに残ってトゥワイスさんたちとともにタワーに近づこうとする解放戦士を何人たりとも先に通すな、というのが弔さんの言い分。
ここから先タワー周辺は弔さんと相手ボスのフィールドだから邪魔者を入れるなと、そういうことだ。

「命令。わかったか」

そんなの承服できない、と食い下がろうとした。
けれどその瞬間にドクターから言われた言葉の意味を理解した。
弔さんを守ることが私の使命。
けれど"必要以上の手助けはしては主のためにならない""時には主を立てることも従者の役目"とドクターは言っていた。
ならば今私がすべきことは、弔さんの戦いに邪魔者を介入させないこと。

「……わかりました」

グッと己の強すぎる忠誠心を堪え、弔さんの命令に従う。
弔さんはというと、私が素直に受け入れたのがよほど意外だったのか目を丸くして驚いたような顔をした。

「安心してください。鼠一匹通しません」

主の側にいられないことは不安だ。
けど一度命令に従うと決めた以上与えられた仕事は完璧にこなしてみせる。

「あぁ…信じてる」

私の複雑な心境を察したのか、ふっと少し笑っていつものように頭を撫でられた。
この人、私の扱い方をよくわかってるな。
そんなこと言われたら、そんなことされたら、なんとしてでも期待に応えようと張り切ってしまうじゃないか。

全てを崩壊させる手。
けどその手はとても温かくて、いつだって私を励まし勇気づけ優しく包み込んでくれる手。

「存分に暴れてください。ご武運を！」

名残惜しい手の温もりが離れ、遠くに駆けて行く。
彼の背中を見送り、増援に向かおうとする解放戦士たちに刃を向けた。

「ここから先は通さない」
　
　
　