233 ページ40
「ふぁ…」
結局昨夜は考えすぎて眠れず、気づいたら朝日が昇っていて寝不足だ。
人目も憚らず廊下で大口を開けて欠伸をしていると曲がり角の奥から少し話し声が聞こえた。
「よかったらお教えしましょうか？」
「ほんとかよ！？助かるぜ！」
噂をすればこの声はホークスとトゥワイスさん。
昨日荼毘さんにあんな仮説を聞かされたら気にならないはずもなく、私は意を決して偶然を装いながら間に割って入った。
「トゥワイスさんおはようございまーす！あ、ホークスさんもいらしてたんですね」
「あぁ、君が元雄英の！こうしてお会いするのは初めてですね」
努めて本心を隠しながら笑顔で話しかけると、ホークスもまた作った笑顔でにこやかに挨拶を返してくる。
「お二人とも何してたんです？」
「解放思想の勉強会をしようって話してまして」
「そうだ！Aちゃんも一緒にどうよ！？」
どうやら"異能解放戦線"を教科書にホークスから解放思想を学ぶらしい。
たしかに元連合側の私たちは異能の解放云々には興味がないしその思想を抱いているわけではないが、わざわざ教えを乞うとはトゥワイスさんも勉強熱心なものだ。
しかしマンツーマンで勉強会なんて、二重生活で多忙なホークスがそんな役をわざわざ買って出るだろうか。
いつもは会議での報告を終えたらすぐに飛び立つし無駄に長居する暇もないといわんばかりの多忙さが見て取れる。
奴も好きで敵の本拠地に乗り込んでいるんじゃない、行動、発言その全てが必要最低限であり何らかの意図が隠れているはず。
となるとやはり、奴にとってこの勉強会はトゥワイスさんを自身の目が届く範囲に置いておくための策か、そうでなくとも警戒心を解き懐柔するための策か、はたまたその両方か。
「…いいですね！私も解放軍の考えはさっぱりなので教えてください！」
何はともあれ、ホークスとトゥワイスさんを2人きりにすることには不安がありすぎる。
ここは私もその勉強会に参加して奴がボロを出さないか監視することにしよう。
2人の背中について歩きながら、こんな時弔さんならどうするだろうかとふと考えた。
弔さんはああ見えてかなりの頭脳派で冷静な判断力も持っているクレバーな人だ。
弔さんに会いたいと感傷に浸りそうになったが今はそんなことを言っていられない。
主の不在だからこそ、私がしっかりしなくては。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 470人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さかさま | 作成日時：2022年4月20日 22時
