【ヒロアカ】死柄木弔の忠犬５ (ページ41)

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腹の探り合い、もとい勉強会はホークスの懐から鳴り響いた着信音で終わりを告げた。
ヒーローの仕事が入ったとか言ってたけどそれが本当かどうかは定かではない。
勉強会は時間にして1時間もないくらいで、最中に奴は特に不審な動きをすることはなくただ懇切丁寧に解放思想を解説しているだけだった。

「はぁ…弔さんに会いたいなぁ」

どうにかボロを出させたいと思った私はホワイトボードを片付けながら世間話でもする風に言ってみせた。

「噂で聞きましたよ、恋仲なんですっけ？」

するとあちらもにこやかに当たり障りのない返答。
それに対して私は続けて愚痴を零すように寂しい、ひと目会いたいと言い続けた。
正直弔さんと離れて2週間が経過した今、寂しくて仕方ないのは事実だけれど。

「あ、それなら俺が作ってやるぜ！」

するとトゥワイスさんはおそらくなんの気無しにそんな提案をしだした。
尤も言わせるように仕向けたのだが。

「ほんとですか！？」

私が第六感で認識できる敵意は弔さんに向けられたものだけ。
当人がその場にいなければなかなか敵意を露わにすることもないので決起集会以来ホークスから敵意を感知したことはない。
けれど今ここで弔さんが現れることを匂わせればどうなるか。
そして荼毘さんの推測が合っていればトゥワイスさんが迂闊に弔さんを作ることに動揺するか、何かしら難色を示すのではないかと期待していた。
早速手をかざして作り出そうとするトゥワイスさんの背後で話を聞いていたはずのホークスの顔色を横目で伺ったその時、奴が纏っている空気が一変した。

「もー冗談ですよトゥワイスさん！弔さんがいなくても頑張るって決めたんですから！」

「Aちゃん…！健気だ…！」

両手をひらひらと振って戯けて見せたが、内心見てはいけないものを見てしまったと思った。
弔さんを複製させる素振りを見せた途端ヒーローに有るまじき鋭い殺気を放ち、獲物を捕らえようとする鷹の目がそこにあった。
私も死と隣り合わせの生活をしてきてわかるようになってきた、あれは人を殺せる目だった。

「じゃあ今度また続きやりましょう」

「おう！気を付けろよ！」

その後空に飛び立ったホークスを見送って、緊張感から解き放たれた途端額にじわりと汗が滲んだ。
少しカマをかけたつもりがまさかあんな一面を見ることになるとは。
しかし確実に分かったことがある。
奴は他のヒーローたちとは違う、目的のためなら手を汚すことができる側の人間だ。
　