学校１の王子様は歌い手ガチ恋勢でした。【あ/ほ/の/坂/田/。】

20話 ページ21

夢主side




坂田先輩と一緒に来たのを後悔しそう。


嫌とかそんなんじゃなくて、ドキドキしすぎてって話なんだけどね。

シンデレラ城の前で写真を撮ろうとしたらすごく近くでしかも耳元で話されて正直息止まるかと思った。

その後Twitter用に顔を隠して写真も撮ったけれど、坂田先輩と2人のやつを折角だし載せようとしたら同担さんに刺されるからやめて！なんて言われてしまった。

だって、2人で行ったのに1人での写真って寂しいじゃん。


あ。そろそろパレードが始まる。


少しパレードの列から離れてはいるけれど坂田先輩が見えやすいところを見つけてくれたからしっかり見える。

見やすい方に私を置いてくれて優しいな、とか思ったり。


さ｢Aちゃん、見える？｣

貴｢っ！見えます！｣


だ！か！ら！近いんだって！

ビクリと肩が跳ねるのが自分でも分かる。


貴｢わ、綺麗...｣


キラキラと輝くパレードは綺麗で、夢の国なんて言われるのも頷ける。


隣で坂田先輩も魅入ってるのが時折漏れる感嘆の声からも察することができる。


あっという間に時は経ち、光り輝くパレードも終わってしまう。


貴｢綺麗でしたね！！｣

さ｢せやなー。｣


やや興奮気味の私とは裏腹に何故か少し緊張したような面持ちの坂田先輩と目が合う。



さ｢Aちゃん。｣


いつもの優しい声というより、真剣そうな声につられて私の声も固くなってしまう。


さ｢俺な、Aちゃんのことが好き。元からガチ恋勢やったのはほんまやけどすずらんさんとしてじゃなくAちゃんとして、好き。｣


貴｢え、？｣


言われていることが上手く頭に入ってこない。

好き、好き。

それは、知ってた。
でもすずらんとしての私を好いてくれてるんだと思ってた。

Aとしてじゃないんだろうな、って。


なら、それに対する私の答えは？



貴｢ごめん、なさい｣



絞り出した声は酷く震えていて、我ながらなんて情けない声なんだろう。



でもね、決して好きじゃないわけじゃないんです。
少し、ほんの少し時間がほしいだけなんです。

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