消耗速度 ページ36
肩で息をしながら立ち上がる。カズヤを睨みに近い眼差しで見つめた。
『でも人間は…!誰かの力を借りないと、立ち直れない時だってあるんです!!誰かに頼るのだって、強さじゃないんですか!!』
大声を上げるために口を大きく開けて、頬から流れる血が増えた。こんなこと説いたって彼はどうとも思わないはずだ。ひたすら胸や肩に拳を入れ込んでくる。それでもふらつく足を前に向けた。ずくりと、全身が粟立つ。
『!?』
突然体の奥底から、湧き出るような力を感じた。とても暖かい。信頼の力だ。キーラとダーズを盗み見る。
(キーラ…ダーズ…こっそり力を残してくれたんですね)
ならば相応の闘いをするべし…!体制を整え、飛びかかってくるカズヤを見た。
カズヤ「なんだ!やっと本気を出したか!」
『話している暇があるんですかっ』
上をとったと思い込んでいるカズヤの足元を回り込み、あの時の訓練のように背中に乗った。床に胸から落ちるという結構痛い音がしたが構っている暇はない。この隙が肝心。Aは足と手を使ってカズヤの腕を拘束した。
カズヤ「貴様…っ!それだけ動ける力は奪ったはず…!」
『残念でしたね、自分には頼りになる"仲間"が居るので…!』
デビルの羽を生やして振り切られたAがすかさずカズヤに飛びかかる。今度はあの時のように逃がさない…!
カズヤ「うぎゃああぁあ!!」
悔しげな雄叫びを上げて、カズヤは敗北した。
〜〜〜〜〜〜〜
『もう格闘ファイターとは闘いたくない…』
自室のベッドに横たわるA。窓の外の明るい空を見て、昨日のカズヤ戦の後を思い返していた。あの後観客たちの洗脳が解けて、倒れたAを暫く看病してくれていたらしい。力を分けてくれたキーラダーズも弱って中に戻っていたようだ。しかしあれから返事がない。
『…そろそろ起き上がるか』
ベッドから起きて倒れかけたところをパックンが支えてくれる。沢山体力を消耗してきた。皆が言う「主」を討ち取るまで、自分はどれだけ苦しまないといけないのだろう。
二人が話さなくなってから3日経った。探索には出ずに城で過ごしたが、稀にファイターが出没するくらいで静かだった。話し相手がいないというのはこんなに寂しいものだったか。昨日のロボット戦でそう感じてしまったのだ。
『えーとパックマンさんにダークサムスさん、それからゲムヲさん…この3日で出過ぎだろ』
そうだ彼らがいない時は、こんなに淡々としていたっけ。
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粗大ゴミ(プロフ) - 青い氷さん» コメントありがとうございます!こんな妄想の垂れ流しを褒めてくださるなんて嬉しいです…!拙い駄文ですがゆっくり投稿していきますので是非最後までお付き合い下さい(*^^*) (2022年8月13日 15時) (レス) id: fd182a523e (このIDを非表示/違反報告)
青い氷(プロフ) - すごく面白いです!更新頑張ってください!!応援してます! (2022年8月11日 21時) (レス) id: 76e242a4de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:粗大ゴミ | 作成日時:2022年6月16日 1時