特技(リュウ) ページ37
記録役にも大分慣れてきた頃、マスハンからこんな提案をされた。
マスハン「そろそろAさんも私の仕事に手をつけてみませんか?」
『マスターさんの仕事、ですか?』
ええ、と頷くとマスハンはノートパソコンを持ち出した。見た目はただの右手だというのになんとも器用に物を持つものだ。パソコンを立ち上げて表を出す。左端にはファイター全員の名前が振られていた。
マスハン「紙に簡単にまとめる作業はやってもらっていましたが、直接入力することも練習して頂こうかと思いまして」
『なるほど。やります!』
椅子に座り早速画面を見る。記録用紙とほとんど変わらない内容だが、やはりパソコン入力の方が整理しやすそうだ。マスハンに今までの記録用紙を渡され入力を始める。
カタカタカタカタカタ タンッ
『こんな感じですか?』
とりあえずマリオの記録を入力したAはマスハンに確認を求めた。
マスハン「いいですね!しかもタイピングも速くて申し分ない!その調子でどんどんやっちゃってください!私はお茶をご用意するので…」
『わかりました!よし…』
学生時代の創作活動が糧になったようだ。タイピングの腕は鈍っていなかった。今は専らスマホのテンキー入力で慣れてしまっていたが、たまにはキーボードも悪くない。段々楽しくなってきた。
『昨日のクラウドさん強かったなぁ〜あ!ドンキーさんまたメテオ出してる!流石!プリンは軽いから飛びやすくて大変だよね…吹っ飛び率高いし…』
こうして一人一人の記録を見ると、その人の得意な技、苦手な状況などが分かって嬉しくなる。本当は実際に自分が闘って実感する方が捗ると思うのだが、それだとファイターになることが大前提なので無理な話である。
マスハン「おやどうしました?手が止まってますよ?」
『あ、すみません…実際に自分が闘ってみた方がいい記録がとれるかなとか、考えてて…』
マスハン「むむ、やはりファイター希望ですかな?」
『あいや!でも!自分は闘えないし…見守る方が、性に合ってるのかなって』
マスハン「そうですか…でも、いつでも歓迎ですからね!なんなら、ファイター体験とかしちゃいます?」
『ファイター体験?』
味は保証しませんが、と紅茶を差し出してくれたのでそれを啜りながらマスハンを見る。
マスハン「とりあえずステージに立ってみるとかでもいいので、やってみます?」
『は、はい!是非!』
色んな観点から見るのもまた勉強だ。
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粗大ゴミ(プロフ) - まどかさん» コメントありがとうございます!コンテンツに対しての熱と文才が落ちかけている作者ですが、そう言っていただけて嬉しいです! (9月11日 23時) (レス) id: fd182a523e (このIDを非表示/違反報告)
まどか - 亜空間の小説から見てこんなに面白く楽しいって思ったのは初めて… (8月30日 4時) (レス) @page50 id: b6ef9522e9 (このIDを非表示/違反報告)
粗大ゴミ(プロフ) - わらび餅さん» ありがとうございます!掛け持ちな上に飽き性ですが、ちまちまやっていこいと思います(*^^) (2021年10月7日 22時) (レス) id: fd182a523e (このIDを非表示/違反報告)
わらび餅 - 面白かったです。更新頑張ってください。 (2021年10月7日 17時) (レス) @page2 id: b4ce205d1c (このIDを非表示/違反報告)
粗大ゴミ(プロフ) - りなりんさん» りなりんさん!ありがとうございます!いい機会だったので即興で短編集を作成してしまいましたw楽しんでもらえて良かったです!こちらこそありがとうございました(*´∇`) (2021年10月7日 12時) (レス) id: fd182a523e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:粗大ゴミ | 作成日時:2021年10月7日 0時