すまっしゅ

これぞワイルド(リンク) ページ26

『あれ？リンクさんがいない…』


クルール「外で火を焚いているのなら見たぞ」


昼食時に次の乱闘のリンクに声をかけておこうと、彼を探していたらキングクルールが教えてくれた。彼は昼食を済ませた後なのか、目立つお腹をぽんぽんと叩いて通り過ぎていった。


『ありがとうございます！…にしても火か、何してるんだろ』


外、とは言ったもののどこなのか分からない。とりあえず大きな入口の扉を開けてみる。すると、風に乗っていい香りがしてきた。


『やば…お腹空く』


嗅覚がいい方ではないのだが、なんとなくこっちだと分かる。人気のない場所。中庭を過ぎて少し奥の森。そこに彼はひっそりと鍋を掻き回していた。


『り、リンクさん？』


リンク「あ、見つかった」


『そりゃ見つかりますよ、こんなところにいたら』


彼は特に反応するでもなく鍋を見つめる。まさか持参なのか？


リンク「いや厨房から借りた」


『はっ！声に出てましたか…』


リンク「流石に自分の世界から持ってくるほど余裕なかったよ。はい」


木製のお玉で中の具材を掬いお椀に移すと、こちらに差し出してきた。食べろという事だろう。ありがたくいただく。


『わ！美味しい！』


リンク「良かった。今日は外で食べたい気分だったから、作りすぎてさ…」


『ああ、だから稀に屋敷内にいないんですね』


リンク「元の世界ではずっと一人で作って食べてたからな。今、君と鍋を囲んでいるだけで嬉しい」


淡々と話す彼は、自分の分をよそって一口食べた。彼は座っている丸太をぽんぽんと叩く。


リンク「もっと食べなよ。それとも、食べてきちゃった？」


『！いえ！何も食べてなくてお腹すいてます！』


リンク「元気でよろしい。人参好き？」


『大好きです！』


屋敷で全員分用意されている昼食に申し訳なくなりながら、リンクの料理を頬張った。ぼさついた髪が目に留まる。


『…髪切らないんですか？』


リンク「あーなんか短いと落ち着かなくて…気になる？」


『いえ、長い髪が似合うということはイケメンなんだなって』


はっとして口をおさえる。思ったことをそのまま言ってしまった羞恥で彼の顔が見れなくなってしまった。


リンク「あ、や、そんなこと思ってくれてるとは…ありがとう」


あまり表情に出ない彼の珍しい反応。それにつられて更に恥ずかしくなってしまった。


リンク「ねぇ、また食べに来てよ。Aのために作るから」


そう言って彼は微笑んだ。

たまには休みなよ(ガノンドロフ)→←☆

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す