彼と出会えて幸せになれました。【ソーン=ユーリエフ】 (ページ11)

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バグ成長2※ ページ11

最悪だ。よりにもよって一番見られたくない人に見られてしまった。Aさんは僕を見るなりきょとんとしていた。

『………？』

そして食堂の奥の席で優雅に紅茶を飲んでいる兄様と僕を交互に見た。暫く僕の顔を見ていると扉を静かに閉めた。

｢まてまてまてまて｣

13さんが急いで扉の間に足を入れて閉じられるのを阻止すると、勢いよく開けAさんの頭をぐりぐりと撫で回した。

『うわわ！』

｢まぁまて、こいつはアダムじゃねぇ。ソーンだ。バグで成長しちまったらしい｣

『うぇえ！？ソーンくん！？』

｢はい…｣

事の顛末を話終える頃には、朝食は冷め切ってしまっていた。

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ソーンくんがバグで大人になってしまった。初めに見たときは幻覚でアダムが見えていると思い込んでしまい扉を閉めるという失礼を犯したのだが、今はバトルアリーナでマッチングをしている。特に体の異常も見られないから大丈夫と彼は言うが、私は心配だ。

隣には私より背の高いソーンくんがいる。静かなマッチングルームで私たちは座っていた。同じチームの桜華さんはこちらを気にせず遠くで腹筋をしている。だからだろうか、二人きりと感じてしまうのは。無意識に心臓が強く脈打っていた。

暫くしてマッチングした私たちはリスポーン地点に着く。敵はマリアさん、リリカさん、勇者くんだった。マリアさんのHAに気をつけていれば何とかなると思って私はCにドアで突っ込んだ。

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『くっ！！』

｢甘いわねA！私がこれぐらいで怯むと思っていたのかしら！！｣

マリアさんの猛攻撃に押され、Cで耐えるのももう限界だった。桜華さんはまだリスポーン地点から降りたばかり。ソーンくんも間に合うかどうか…。HAがあるとしても体力は削がれるばかり。これ以上耐えたら意識が飛んでしまう。もう駄目…タンクとして情けない…。そう思ってHA″我慢″を解除しようとした。

｢Aさん！｣

聞き慣れない声が私の鼓膜を揺らした。次の瞬間背後から優しく抱きつかれ、目の前にいたマリアさんとリリカさんが凍りつく。

｢諦めるのは…まだですよ｣

随分と…落ち着いた口調だな…。そんなことを思っている間に、合流した桜華さんが凍り付いた二人を斬ってポリゴンにした。そこで試合は終了した。

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敵だった三人と桜華さんにお疲れ様です。と挨拶をして自室へ戻ろうとする。そろそろお風呂に入ろうかな。もうすっかり夜になってしまっていた。