報告 ページ8
撮影が午後から行われる今日。
私と剛典くんは揃って事務所にやって来た。
HIROさんに報告するためだ。
岩田「お忙しい中、お時間頂きありがとうございます」
HIRO「どうした？」
岩田「この時期にではありますが、交際することになりました」
オーディションよりも緊張する。
少しの沈黙。
どれくらいかは分からない。それくらい緊張する。
HIRO「おめでとう」
その一言に肩の力が抜けた。
否定することは無いと思っていた。
ただ、気恥しさとか色々あって緊張してた。
岩田「ありがとうございます」
『ありがとうございます』
HIRO「メンバーには報せた？」
岩田「タイミングがあれば、報せようと思います」
HIRO「その辺は、二人のペースで話し合って決めていいと思う。
正直、二人がくっつくのそろそろかなってのは思ってたからさ」
岩田「……」
『……』
HIRO「俺は二人を応援したい。
また何かあったら教えて」
岩田「はい」
『ありがとうございました』
外に出て、私たちは更に肩の力が抜けた。
『……緊張した』
「そうなの？」
『……誰かに話したの初めてだったから』
今まで交際経験はそう多くないけれどある。
ただ、そのどれも親に報告なんてしたこと無かった。
だから、この瞬間が何故か怖くて。
「まぁバレた時はバレた時でしょ」
『能天気か……』
「ははは」
けど彼の独特の雰囲気に、いつも肩の力が抜ける。
顔を合わせるようになって数ヶ月。
世間的に早いのか遅いのかは分からない。
だけど、私たちは今幸せだと思う。
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Takanori.I
無事に報告も済んだ俺達は、その足で撮影が行われる現場に向かった。
付き合って何日か経ってるけど、今のところ気づかれてはいない。
岩田「おはようございます」
『おはようございます……』
「「おはようございます！」」
スタッフさんが出迎えてくれて、中に入ると何人か集まってた。
大樹「デートっすか」
岩田「ははっ、ご飯食べて来ただけだけどね」
大樹「デートじゃないっすか」
同じグループの大樹に弄られながら、俺もメイクやらセットやらを整えてもらって。
楽屋で健さんはいつもと変わらなかった。
和気あいあいとした現場です。
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作者名：雪乃 | 作成日時：2023年6月22日 19時
