慣れない ページ5
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無事に一期の撮影が終わり、そのままセカンドシーズンの撮影が始まった。
役も続投になり、二人の関係がどうなるのか気になる。
『あ、岩田さん。
この前勧めてくれたトレーニング、めっちゃ良いらしいです』
岩田「あ、ホント〜？」
『ありがとうございました！』
岩田「全然だよ」
傍から見れば、岩田がAに向ける視線は、愛情そのもの。
それを直に感じてる山下は砂糖を吐きそうな顔している。
山下「あそこだけな、雰囲気が甘いんよ」
寛太「ですね」
山下「……なんなん？」
伸之「あれで付き合ってない、ですからね……」
萩花「世も末だわ……」
大樹「あ、でもこの前岩さんは絶対落とすって登坂さんに言ったらしいですよ」
寛太「それどこ情報？」
大樹「TAKAHIROさん情報」
山下「あの人どこまで知ってんの？」
撮影の合間の休憩時間。
コブラのいつもの席で話し込む二人を、カウンターから見守る山王連合会。
山下「まぁどっちも幸せならええねんけどなあ……」
岩田と同じ三代目JSBのメンバーである山下の呟きは最もだった。
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今日は岩田がオススメするバーにやって来た。
そこで二人は一番奥のカウンターに座り、薄暗い中で話し込む。
『ずっと、気になってたことですけど』
「ん？」
『……どうして、私のことを気づいてくれるんですか？』
「……って言うと？」
『……岩田さんだけなんですよ。
私が味濃ゆいのが苦手だって気づいてくれたのも』
「……」
『私が疲れてる時に、頑張ってるねって言ってくれるのも』
―――
「Aは頑張ってるね」
―――
『何気無く言ってくれてると思うんですけど……』
「Aは、嫌だ？」
『……嫌じゃないから、困ってます』
ただ、慣れないだけだ。
手元にあるモヒートを持つ手が震える。
人から優しくされるのには、慣れていない。
初めて共演してから約半年が過ぎた。
「…………すみません、チェイサーお願いします」
「かしこまりました」
『岩田さん……、ありがとう』
だから分かる。
限界な時に酔ってしまうと、泣き上戸な彼女を。
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作者名：雪乃 | 作成日時：2023年6月22日 19時
