今なら ページ27
剛典くんが泣きながら訴えてくれた。
一緒に暮らそうって、震えを押し殺しながら言ってくれた。
「俺は、まだ三代目としてやれる事をやりたいから、Aに沢山我慢させると思う。
けど、いつか必ず、俺と一緒で良かったって後悔はさせないから。
だから、隣に居て欲しい」
『それ、事実婚じゃん』
私は剛典くんの目頭から鼻筋を伝う涙を拭った。
私の言葉に、彼は「そうだね」と笑う。
けど、私達はそれくらいお互いを思ってる。
『剛典くん、わざと撮られよっか』
「え？」
『匂わせだって面白いかもね』
「……ふふっ、結構問題なるかもね」
『けど、私達はネットではかなり話になってるよ』
そう。
普通にLDH関係のイベントでも、隣り合わせになったら当たり前のように会話してる。
それも見えにくいけど、お揃いのネックレスをつけてたり、
姉妹作のアクセサリーをつけてたり。
『貴方と離れ離れになるのが怖くて、言葉にするのが怖かった。
でも、今なら行ける気がする』
「A」
『今なら、何も怖くない』
私がそう言うと、彼は、鼻を啜って私の涙を拭ってくれた。
お互い笑い合う。
『剛典くん、愛してる。
ずっと、隣に居て、私を愛して』
「ふふっ、もちろん」
私達はそのまま自然に唇を重ね合わせる。
私は休みだけど、彼は違うはずだ。
そう思ったけど、彼は笑った。
「大丈夫。
今日は午後からだから」
「だから、何も心配せずに、俺に身を委ねてよ」
『分かった』
私達はそのまま体を重ねる。
何度も何度も、再び思いが通じ合った私達は、離れられなかった。
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作者名：雪乃 | 作成日時：2023年6月22日 19時
