待ち合わせ ページ3
猫を見に行きたいと話してから二日。
撮影関係の都合で翌日が遅い時間に予定を入れた。
私は準備を整えると、動きやすい格好と多すぎない荷物で家を出た。
待ち合わせ時間は21時、場所は店の中。
私は少し早く着いてキャッチの子と話す。
「今日はどうですか？」
『あ、待ち合わせしてるんだけどすぐ上がるよ！』
「あ、ミケとチャッキーすか？」
『うん、そう』
私はその子の後ろにある段差に座って、猫が来るのを待つ。
三毛猫だからミケと呼ばれてる猫と
茶トラだからチャッキーと呼ばれてる猫。
誰だ安直な名前つったやつ。
「あ、居た」
『え、早くないですか？』
岩田「しっかりしてる人だから、早く着いた方がいいかなって」
「え、待ち合わせって……」
『分かっても口にしない！
バー店員なんだからしっかりしてよも〜』
「いやいや、流石に思わないっすって。
どっちも凄い人なんて……」
岩田「この人は？」
『バーの従業員の子です。
大学の後輩がこっちでバー店員やってたから遊びに来たのが始まり』
岩田「付き合ってるの？」
「なわけないじゃないですか。
俺タイプじゃないですもん」
『ふっ泣かすぞコラ』
「暴力反対です！」
『あ、ミケちゃん！』
後輩と絡んでたら、岩田さんは来るわ、ミケが来るわで忙しい。
おいで、とミケに声をかけると、ミケが寄ってきた。
岩田「この子がアイコンの？」
『そうです、この子です』
岩田「可愛いね……」
『ミケ、おいで』
体勢を変えて膝を叩くと、控え目にミケが乗ってきた。
この瞬間がめちゃくちゃかわいい。
「相変わらずAさんには寄ってくんすよね」
『ちょっとした優越感』
岩田「……触ってもいい？」
『大丈夫ですよ』
そう言って岩田さんに撫でられたミケは、微動だにせず甘受してた。
私の膝に乗ってる時は、誰が寄って来ようが何も言わないこの子。
岩田「こっち向いて」
『？』
岩田「はいチーズ」
.
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.
Takanori.I
猫が好きで盛り上がれた気になる子の写真を撮ることができた。
誰にも向けられていない、俺にだけ向けられた視線で、
凄く胸が締め付けられる。
共演したのは最近からだけど、ずっと気になってた。
だから俺は、このチャンスを無駄にしたくない。
俺は期限を決める。
「HIGH＆LOW」が終わるまでに、落としてみせる。
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作者名：雪乃 | 作成日時：2023年6月22日 19時
