同居生活10 ページ10
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見事にフリーズしてしまった杏寿郎さんを、ベッドへと運ぶべく体を押してみるものの。
いや、重いな。筋肉なんだろうけど重いな??
ビクともしないんですが。私の腕の方がぷるぷるしてるんですが。
『杏寿郎さん、寝ましょう?もう夜ですから』
「俺は寝ない!!」
『明日は杏寿郎さんの服とか色々揃えないといけないんですよ。早く寝ましょう』
「しかし鬼が出るかもしれないだろう!」
『……杏寿郎さん、ここに鬼はいませんよ?』
「……なんと?」
話を続けながらも、杏寿郎さんを移動させようと奮闘しているAです。
本当にビクともしません。
まるで壁を相手に相撲をしている気分です。
『杏寿郎さんの所には鬼がいたんですか?』
「うむ。人間を喰う人喰い鬼がいた」
『そうなんですねぇ、この世界では鬼と言えば親が子供を教育する時に比喩表現として使われがちですね。いい子にしていないと鬼が来るよ、って感じです』
押してダメなら引いてみろ作戦に変更したAです。
杏寿郎さんの腕を思いっ切り、全体重を掛けて引っ張っていますが微動だにしません。
え?使い方が間違ってる?
何の事かさっぱりですね。
『と言う事でこの話はおしまいですね。さあ、杏寿郎さん一緒に寝ますよ』
「断る!!嫁入り前の女性と同衾など許される事ではない!!」
『どうしても同じ布団では寝ないと?』
「当然だ!!」
『そういう事でしたら私にも考えがあります。一緒に床で寝ましょう』
「よもや!何故そうなる?!」
悔しい!!未だにmm単位も移動させられていない!!
正しく、動かざること山の如し。
これが炎柱、煉獄杏寿郎……!!
『実は私、一人だと寂しくて眠れないんです……』
「む?」
『冷え性なので、寒いですし……』
「むぅ?」
『今日だけでいいので、ダメですか?』
「しかし……」
即興ででっち上げた嘘にしては上々……。
もう一押しあれば一緒に寝られそうな予感!!
内心でほくそ笑みつつ、杏寿郎さんに続けて言葉を紡ぐ。
『杏寿郎さん、お願い』
「うっ、む、いや……っ!」
何だこの狙いきったあざとさ全開のお強請りは。
自分でやってて顔が引き攣りそうなんですが。
ぎゅっ♡と杏寿郎さんの手を握り。
上目遣いでかわいくお願いする。
……尚、杏寿郎さんの視線は私に向いていない模様。
しかし、勝利の女神は私に微笑んだ。
まあ、私の日頃の行いの賜物ってやつかな。
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chiaki0708(プロフ) - ムフフが止まりませんでした (2021年12月6日 14時) (レス) @page49 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - misakimiさん» misakimiさん、コメントありがとうございます!好きな設定だと言って貰えて嬉しいです!雰囲気上手だと言って貰えて嬉しい限りです…更新は遅めですがこれからも頑張りますね! (2021年8月11日 12時) (レス) id: 7dcf5a18d1 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - この設定、素敵です!彼らの醸し出す雰囲気上手ですね。このお話に出会えて良かった! (2021年6月27日 21時) (レス) id: ca18a121f6 (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - もしゃこうさん» 最高だなんて嬉しいです!私も書いていて楽しいので更新頑張ります!!ふふふ、ニヤニヤして貰えたのなら作者冥利に尽きますね!! (2021年2月9日 0時) (レス) id: 7fde5a79e3 (このIDを非表示/違反報告)
もしゃこう(プロフ) - めっちゃこのお話最高です!続きが気になります!そして自分はこれを読みながら1人部屋でニヤニヤしてますw (2021年2月8日 15時) (レス) id: eecce6b130 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にじ | 作成日時:2021年1月18日 21時