同居生活25 - 不死川実弥 - ページ25
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気が付けば知らない場所にいて。
数年前に死んだ同僚と再開して、気が付けば住む場所が決まっていて。
今度は、寝る場所の順番を決める事になっている。
「さっさと決めるぞォ」
「うむ!」
「あぁ」
Aは、と様子を伺えば四角い物を手に持ってそれを熱心に見詰めていた。
こちらの事は完全に俺達に任せるつもりらしい。
それならそれでやりやすいか、と思考を巡らせ煉獄と冨岡に視線を戻す。
「俺は何番でも構わねェが、お前らは希望あるかァ」
「Aと寝たい」
「昨夜は俺が一緒に寝た!」
いや、これもう決まったようなもんだろ。
冨岡は今日一緒に寝たい。煉獄は昨日一緒に寝た。
煉獄も結果が予想出来たのか、冨岡を凝視してやがるしな。
「なら決まりだろォ。今日は冨岡、明日は俺。最後が煉獄だァ」
「……ムフフ」
「冨岡か……心配だな!」
「心外!」
二十五まで生きた俺と冨岡は、二十五を迎えたと同時くらいに死んだ……はずだ。
曖昧なのは、死んだなと確信したと同時に此処に居たから。
聞けば、煉獄も全く同じ状況で此処に来たらしい。
俺、冨岡と煉獄の間に違いがあるならば歳。
俺と冨岡だけは二十一の体に戻っていたのだ。
直感でこの体は二十一の時のモノだと感じた。
鬼の始祖、鬼舞辻無惨との最終決戦へ向かった時の体であると。
胸に手を当てれば、どくりと心臓の鼓動が伝わる。
俺は今、間違いなく生きていた。
「何してんだァ?」
得体の知れない俺達の面倒を見てくれているA。
数刻一緒にいただけだが、度の過ぎたお人好しである事は手に取るようにわかった。
じゃれ合っている煉獄と冨岡を放置して、Aの隣に座り手元を覗く。
『実弥さん?話し合いは終わったんですか?』
「とりあえずはなァ。んで、何してんだァ?」
『明日の予定を組んでたんです』
俺が見やすいようにと、体を寄せて四角い何かを見せてくるA。
何があるのかと目を向ければ、そこには文字が並び指で触れば映る物が変わるという不思議な絡繰り。
「なんだァ?」
『ふふ、これも初めて見ますか?』
嫌な顔一つせず、丁寧にその絡繰りについて説明してくれるAは誰が見ても優しい女性そのものだろう。
この世界で、一番最初に知り合えたのが結野Aと言う存在で良かった。
此方を見上げたAの頭をぽんぽんと撫でてやりながら、そんな事を考えた。
「距離が近い!!」
「いや煉獄、怖ェわ」
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chiaki0708(プロフ) - ムフフが止まりませんでした (2021年12月6日 14時) (レス) @page49 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - misakimiさん» misakimiさん、コメントありがとうございます!好きな設定だと言って貰えて嬉しいです!雰囲気上手だと言って貰えて嬉しい限りです…更新は遅めですがこれからも頑張りますね! (2021年8月11日 12時) (レス) id: 7dcf5a18d1 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - この設定、素敵です!彼らの醸し出す雰囲気上手ですね。このお話に出会えて良かった! (2021年6月27日 21時) (レス) id: ca18a121f6 (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - もしゃこうさん» 最高だなんて嬉しいです!私も書いていて楽しいので更新頑張ります!!ふふふ、ニヤニヤして貰えたのなら作者冥利に尽きますね!! (2021年2月9日 0時) (レス) id: 7fde5a79e3 (このIDを非表示/違反報告)
もしゃこう(プロフ) - めっちゃこのお話最高です!続きが気になります!そして自分はこれを読みながら1人部屋でニヤニヤしてますw (2021年2月8日 15時) (レス) id: eecce6b130 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にじ | 作成日時:2021年1月18日 21時