同居生活21 ページ21
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不死川さんは、慣れた手付きで包丁を扱う。
意外だと思う気持ちと、料理が出来ても不思議じゃないと思う矛盾が生まれ何とも言えない気持ち。
『不死川さん、料理されてたんですね』
「まあなァ、弟と妹が多かったってのもあるが……料理自体は嫌いじゃねェ」
『へえ、じゃあ長男なんですね!私は一人っ子だったので楽しそうで羨ましいです!』
手は動かしたまま、不死川さんの話に相槌を打つ。
やっぱり見れば見るほどカッコイイ……。
……ただ、そわそわと此方を気にする杏寿郎さんが気になって仕方ない。
手伝いたいけれど、下手に手は出すまいと気を遣ってくれているのだと思うのだけど。
視界の端に、あの特徴的な髪がちらほらと見え隠れするのは……正直かわいすぎるんですよ!!
『杏寿郎さん』
「!」
『食器を出して貰えますか?』
「うむ!任せてくれ!」
あ〜!!そのパッと表情を明るくして笑うのヤメテ!!
心臓がきゅんきゅん通り越してギュンギュンするから!!
因みにですが、冨岡さんはずっっと私の後ろから鮭大根が作られていく過程を見守っている。
ずっとです、ええずっと。
ぴったりと背中にくっ付いて離れません。
『冨岡さん、はいあーん』
「ん」
味付けの確認をしてもらえばいいかと、大根の端の方を食べてもらう。
もぐもぐと口を動かす姿は小動物を連想させてとてもかわいい。
「美味い」
『それは良かったです』
よし、冨岡さんも美味しいと言ってくれたので鮭大根が入った鍋にフタをして少しの間放置。
味を染み込ませた方が美味しいのだ。
「……鮭も食べたい」
『出来上がるまで待って下さいね』
「ダメか」
『ダメです』
「どうしてもか?」
冨岡さんの頭にしゅんと垂れた耳が見えた気がした。
だがしかし!私は屈しない!
隙あらばつまみ食いをしようとする冨岡さんの手を、ぺしりと優しく叩き。時には優しく
『こーら、義勇!ダメだって言ってるでしょ!』
「もう一口だけ、」
『もう出来るから我慢して』
くっ……これが末っ子の実力……!
つい甘やかしてしまいそうになる自分がいる!!
ぎゅう、と後ろから私を抱き締めながら不満気な視線を向けてくる義勇。
これは圧倒的弟属性……!構いたくなる!!
「よも、よもや……冨岡に先を越されるとは!」
「敬語も忘れてんなァ」
「……許せんな」
「煉獄、顔すげェことになってんぞォ」
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chiaki0708(プロフ) - ムフフが止まりませんでした (2021年12月6日 14時) (レス) @page49 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - misakimiさん» misakimiさん、コメントありがとうございます!好きな設定だと言って貰えて嬉しいです!雰囲気上手だと言って貰えて嬉しい限りです…更新は遅めですがこれからも頑張りますね! (2021年8月11日 12時) (レス) id: 7dcf5a18d1 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - この設定、素敵です!彼らの醸し出す雰囲気上手ですね。このお話に出会えて良かった! (2021年6月27日 21時) (レス) id: ca18a121f6 (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - もしゃこうさん» 最高だなんて嬉しいです!私も書いていて楽しいので更新頑張ります!!ふふふ、ニヤニヤして貰えたのなら作者冥利に尽きますね!! (2021年2月9日 0時) (レス) id: 7fde5a79e3 (このIDを非表示/違反報告)
もしゃこう(プロフ) - めっちゃこのお話最高です!続きが気になります!そして自分はこれを読みながら1人部屋でニヤニヤしてますw (2021年2月8日 15時) (レス) id: eecce6b130 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にじ | 作成日時:2021年1月18日 21時