同居生活41 ページ41
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はい、実弥さんにこってり絞られたAです。
今は義勇に頭を撫でてもらってます。
実弥さんのお話からようやっと解放された私は弱りきっていて。
しおしおと項垂れていれば、てちてちと近付いて来た義勇がぎゅっと抱き締めてくれて。頭も撫でてくれたんですよ。
当然私は、これ幸いと正面から義勇を抱き締めましたが何か?
もふもふとした義勇の髪と自分の指を戯れさせながら、首筋へ顔を埋め素知らぬ顔で、すんすんと義勇の香りを堪能する。
「大丈夫か?」
『もっと頭ぽんぽんして』
「わかった」
私が泣いているとでも勘違いしているのか、少しだけ困ったような声音で話し掛けてくれる義勇。
いい子に育ってくれて私は嬉しいよ。
だからね?義勇の優しさをもっと感じていたいので。
杏寿郎さん、私の正面からじっと視線を送るの止めてもらっていいですか??
無言で見詰められるのは心臓に悪いのですが。
その視線から逃げる為に義勇に抱き着いてると言っても過言ではないかもしれない。
『杏寿郎さん』
「なんだ!」
『そんなに見ないで下さい』
「よもや!」
『手が空いてるなら私の頭をぽんぽんして下さい』
「……うむ!」
「ダメだ」
杏寿郎さんの大きな手が、私の頭に触れそうになったその時。義勇のその一言と同時に、私の体がふわりと浮き上がった。
何事かと義勇に抱き着く力を強める。
視線を巡らせば、何時もより高い目線。
これ、義勇に抱き上げられているのでは?
膝裏に差し込まれた左腕と、私の肩を抱く右腕。人を一人抱き上げているにも関わらず、逆に安定感さえ感じるこの感じは……。
いくら可愛い弟のような存在とは言え義勇も男で、体も鍛えられているのだと嫌でも思い知る。
「どういうつもりだ、冨岡」
「Aは、俺のだ」
「ほう?だがAは嫌がっているかもしれないだろう」
「……俺は嫌われていない」
いや、あの。こんな事を言うのはあれなんですが。
凄いんですよ、この二人。煩くしないで、と言った私の言い付けを守ってくれているんだろうけれど。
早足なのに足音がしないんですよ。
時折、テーブルとか飛び越えてるのは後で怒りますけど。
それにしたって着地した時の音が凄く静か。ほぼ無音。
なるほどね?鬼殺隊の柱にとってはこれが普通な訳だ?
「Aを下ろせ、冨岡!」
「断る」
『目が回り始めた』
ごめんなさい、平凡な私はそろそろ限界です。
ちょっと止まってもらっていいですか!
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chiaki0708(プロフ) - ムフフが止まりませんでした (2021年12月6日 14時) (レス) @page49 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - misakimiさん» misakimiさん、コメントありがとうございます!好きな設定だと言って貰えて嬉しいです!雰囲気上手だと言って貰えて嬉しい限りです…更新は遅めですがこれからも頑張りますね! (2021年8月11日 12時) (レス) id: 7dcf5a18d1 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - この設定、素敵です!彼らの醸し出す雰囲気上手ですね。このお話に出会えて良かった! (2021年6月27日 21時) (レス) id: ca18a121f6 (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - もしゃこうさん» 最高だなんて嬉しいです!私も書いていて楽しいので更新頑張ります!!ふふふ、ニヤニヤして貰えたのなら作者冥利に尽きますね!! (2021年2月9日 0時) (レス) id: 7fde5a79e3 (このIDを非表示/違反報告)
もしゃこう(プロフ) - めっちゃこのお話最高です!続きが気になります!そして自分はこれを読みながら1人部屋でニヤニヤしてますw (2021年2月8日 15時) (レス) id: eecce6b130 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にじ | 作成日時:2021年1月18日 21時