同居生活40 ページ40
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慌てた私はベランダへと続く窓を開き、件の下着を確認した。
ふわりと風に舞う黒いレースの下着。
あ、お気に入りのやつ!しっかり上下セット!と確認を終えた私は、ほっと一息。
『実弥さん、大丈夫です!見られても良いお気に入りの下着だったので!』
良かった良かったと安心しながら、振り返り。
視線を再び実弥さんへ戻した私は、実弥さんの表情を見てピシリと体を強ばらせる。
いや、ヤバ……え?鬼?般若?
「A、正座ァ」
『はい』
「俺が言いてェのはそういう事じゃねェ」
『はい』
「ちったァ女だって自覚と警戒心、危機感、羞恥心を持てェ」
『……』
「返事ィ!」
『はい!!』
でも別に下着を見られて困った訳でもないし……。
むしろ見せられて困ったのは実弥さんの方では?
見ず知らず……ではないにせよ、出会って数日の女の下着見せられるって新手の露出魔か?
そうなると今回の露出魔は私になる訳で……え?警戒心を持つべきは私ではなく実弥さん……?
つまり?犯人は私で被害者は実弥さん?
え、重罪じゃん……誠心誠意謝ったら許してくれる?
『実弥さん……』
「おう」
『すみませんでした!私が気を抜いていたばっかりに不快な思いをさせてしまって!』
「は?いや、」
『話をまとめると、私は露出魔で実弥さんがその被害者という事ですよね?!』
「違ェんだわ」
『今後はこのような事がないよう、細心の注意を払い実弥さん達好みの下着を身に付けたい所存です!』
「オイ、違ェって、」
『ですが、実弥さんも私に対して警戒心を持って接して下さい!』
「話を、」
『つきましては、好みの色からお伺いしてもよろしいでしょうか?!』
「俺の話を聞けェ!!」
『むぐぐっ?!』
実弥さんの手で口を塞がれ、ハッと意識が戻る。
あれ何の話してた?
言いたい事を脈絡もなく口走っていたような?
え、実弥さん呆れ……いや、怒って?いや、ブチ切れ?
「よォ、落ち着いたか……?」
『は、はひ……』
「そりゃ何よりだァ」
『え、あの』
「俺の話を理解出来てねェらしいAとは、しっかりと話し合いをしねェとなァ?」
『私は別に実弥さん達に見られるのは問題な……いなんて事はないです!はい!!』
無言の圧力って怖い。
まあつまり、次からは私の下着も入ってますって事前に申告しておけばいいって事ですよね。
私は同じ失敗は繰り返しません。
ですので!是非、好きな色を教えて下さい!!
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chiaki0708(プロフ) - ムフフが止まりませんでした (2021年12月6日 14時) (レス) @page49 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - misakimiさん» misakimiさん、コメントありがとうございます!好きな設定だと言って貰えて嬉しいです!雰囲気上手だと言って貰えて嬉しい限りです…更新は遅めですがこれからも頑張りますね! (2021年8月11日 12時) (レス) id: 7dcf5a18d1 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - この設定、素敵です!彼らの醸し出す雰囲気上手ですね。このお話に出会えて良かった! (2021年6月27日 21時) (レス) id: ca18a121f6 (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - もしゃこうさん» 最高だなんて嬉しいです!私も書いていて楽しいので更新頑張ります!!ふふふ、ニヤニヤして貰えたのなら作者冥利に尽きますね!! (2021年2月9日 0時) (レス) id: 7fde5a79e3 (このIDを非表示/違反報告)
もしゃこう(プロフ) - めっちゃこのお話最高です!続きが気になります!そして自分はこれを読みながら1人部屋でニヤニヤしてますw (2021年2月8日 15時) (レス) id: eecce6b130 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にじ | 作成日時:2021年1月18日 21時