【 BL 】龍から寵愛を受ける体質のようで【 第3章 】

第８９話【 予感的中 】 ページ12

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はい俺、雪野Aは只今…絶賛迷子中です。
いやこうなる事くらい予想してろよ俺。

場所言われたって知らねぇし。
道案内をしてくれる人が居なければこの王宮内を歩く事すらままならない。

取り敢えず勢いで部屋を出て来たのは良いが、もはや部屋に戻る道すら分からない状態。



『 困った…電話しようにも場所もわかんねぇしなぁ…。』



記憶に残る装飾品を思い出し、道すがら記憶と照らし合わせてみるも同じ物が見当たらない。
本当に知らない場所に迷い込んでしまった。

どのくらい歩き続けたのか、この広大な王宮の中でも一際大きな扉が視界に飛び込んできた。
巨大な龍(ドラゴン)の装飾が施(ほどこ)された扉。

聖バラッド学園の生徒を集められる程の広さだと考えればこの部屋の可能性も否定は出来ない。



『 ……失礼します。』



扉の先は個室の様だった。うん、多分個室だと思うんだよ、広過ぎるけど。
目的としていた場所ではなかったが、余りにも現実離れした空間に飲まれていたと言うか。惹き寄せられる様に室内へと足を踏み入れていた。

光を反射して輝くシャンデリア。奥に見えるのは天蓋付きのベッド。そして、白を基調としたソファやリビングテーブル、収納家具など。
カーペットはふかふか。カーテンにはしゃらりと揺れる宝石が散りばめられタッセルにもキラリと輝くダイヤモンドが揺れる。



『 ……この部屋って入っていい場所だったのか。』

「 良くはないな。」



我に返ったAが小さく零した言葉に返された言葉。良く通る凛とした声が鼓膜を揺らした。その声の持ち主が発したのはその一言のみだったのだが、思わず背筋を伸ばしたくなる様な威圧感にも似た何かを感じ取る。



「 この部屋は余のプライベートルーム。本来であれば入室は禁止だ。」

『 へ、あ…えと？すみません…。』



声が聞こえた先へ目を向ける。どうやらベッドで休んでいた所らしい。天井付近から吊るされた天蓋で相手の顔は見えないが影が動くのを捉える。

そして、その中から褐色の手が伸び長く綺麗な指先が2人を隔(へだ)てていたレースをゆっくりと纏め上げた。

さらりと揺れる漆黒の髪。吸い込まれそうな白銀色の瞳。触れてみたくなる褐色の肌。男なのだが、とてつもなく美人だ。

凛とした低めの声。歳は…よく分からないが見た目は25くらいだろうか。



「 その髪にその瞳…もしやお前は、」

『 ？ 』



距離が遠いんだよ…聞き取れなかったわ。



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