第88話【 煌びやか 】 ページ11
.
煌びやかな装飾が施された廊下を歩き、王宮の中を進む。普通に生活していれば見る事の出来ない華やかな空間に視線はきょろきょろと彷徨う。
「 A君、目がきらきらしてるね〜? 」
「 …珍しいですか? 」
『 あ、すみません…つい。』
Aの様子に気が付いたレイランとファルオが立ち止まる。2人の言う通り金銀はもちろんの事、宝石や美術品。絵画や家具。全てが映画のセットの様で好奇心が刺激される。
歩く速度を緩めた2人は、Aが目に留めるものについて逸話や造り、絵師の名前など解説を入れてくれる。まあ、世界が違うからか知っている名前は一つもなかったのだが。
「 あの部屋です。」
『 えっ…一人部屋ですか? 』
「 そうだよ〜。」
ドドンと構える巨大な扉。扉の大きさからして中の広さも並大抵のものではないだろう。一応部屋の中を確認しておくかとドアノブへと手を伸ばそうとして動きが止まった。
『 ファルオさん、その、手を…。』
「 そうでした。」
手を離してくれるのかと思いきや、手は握ったままドアを開けてくれるというエスコートっぷり。
ちらりと覗いた先には広々とした空間が広がっており、一人で寝泊まりするには寂しい気がした。
荷物が届いているのを確認し、中身を確認しようとして両手が塞がっているのを思い出す。
そろそろ離してもらわないと動作が制限されて動きづらい。
両隣に立つファルオとレイランに声を掛けようと口を開いた所で部屋全体に響き渡った不協和音。いや、正しくはAが所持している12台のアイポンの着信音が一斉に鳴り始めた音。
台数が多いとか思ったやつはアイポン事件参照な。
思い思いに設定された着信音は、12曲が混ざり合う結果になっていて不協和音としか言い様がない有り様だ。
『 ……すみません、今切りますね。』
「 アイポン12台、ですか。」
「 初めて見たかも〜。」
今の時間から推測するに全員がお昼の休憩時間なのだろう。全く迷惑極まりないが。
しかし、切っても切っても着信が止まらない時はどうすればいいのか。これは長期戦になりそうだと結論付けた俺はファルオさんとレイランさんにお礼を述べて一旦お別れする事にした。
ふかふかなベッドへ腰掛け、仕方なく一人一人の着信に応えるべく通話ボタンを押しては切って。押しては切ってを繰り返す。
一通りの通話を終えた俺は昼食を取るべく部屋を出る。
場所は指定されているらしい。
.
1502人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぱるむ(プロフ) - 続きを!!!!!! めっちゃ好きです!! (2021年6月29日 22時) (レス) id: fc15dafcd2 (このIDを非表示/違反報告)
白羅(プロフ) - 初めまして、楽しんで読ませていただいています。このシリーズの1作目が投稿された時からお気に入りで何度も読み返しています。完結状態ですがアイディアが浮かび次第更新して頂けたら嬉しいです。気長に待ってます。 (2021年1月30日 17時) (レス) id: dff74dac63 (このIDを非表示/違反報告)
真昼の空 - オリジナルだけどキャラ設定とかも凝っていてすごいです!!これからも更新楽しみにしてます!頑張ってください!! (2020年10月14日 14時) (レス) id: 8540b78713 (このIDを非表示/違反報告)
ケロロ - 何度読み返しても面白いです!更新楽しみに待ってます! (2020年9月30日 3時) (レス) id: e9685f451b (このIDを非表示/違反報告)
アイス - このあとの展開がめちゃくちゃ気になります! 更新を楽しみに待ってます! (2020年5月29日 18時) (レス) id: 1301bbdf34 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:にじ | 作成日時:2018年3月2日 0時