バレンタインなんてくそくらえ! Ki01 ページ28
街は赤色や桃色に色づき、心なしか浮き足立ってる気がする。大人も子供も関係なく。それは、大学の校内でも変わりなく。いや、街より酷いかもしれない。
「はいっ、バレンタインデー!」
語尾ハートマークが青い空に飛んで行ってしまいそうな甲高い声が聞こえた。何回目だろう。そのまま飛んで行ってしまえばいいのになんて思った。
普段、教室で香らないはずのチョコの香りに胸焼けしそう。周りに人がいなかったら盛大に舌打ちをしているところだ。
「さんきゅー!お返し楽しみにしてろよー?」
機嫌よく返事をするチビにイラついているのもこのムカムカの原因だろうけれど。ああ、バレンタインデーなんて馬鹿らしい。お菓子業界の経済戦略にまんまと乗せられて。
さっきまで授業で使っていた資料の束を勢いよく机に叩きつけて揃える。それをバッグに入れて教室を出た。あいつに見つからないように。
だというのに。
「いやぁ〜めっちゃたくさんもらったわぁ〜」
どこから出て来やがったこのやろう。
「これどれも本命かなぁ〜?なあ、どう思う?A?」
「…」
「うわ!高級チョコじゃん!みっくん困っちゃうなぁ〜!」
「…」
「これって告白かな?どう思う?A」
死んでしまえ、とAは思っています。
最高速度の早歩きで廊下を爆走しているというのに息を切らすことなく自慢、嫌味、にしか聞こえない言葉を撒き散らすこの男北山宏光。
この男と中高大と腐れ縁で何を間違ったか思いを寄せてしまった私は前世でとんでもない罪をしでかしてしまったに違いない。
「…無視すんなよ」
そんなに頬をリスみたいに膨れさせて拗ねても可愛くなんてないなんてことはないんだクソ可愛いなコンチクショウ。
「…で?」
「ん?」
「ん?じゃないよ。何が言いたい訳?モテてます自慢?君がモテている事実は中学校から知ってるけど?」
「ちげぇわ!Aはくれねぇの?」
「私はお菓子業界の策略にのって日本の経済発展に協力するほどお金に余裕がないので毎年遠慮してます」
「かわいくねぇ…!!!」
結構でございますよ、ええ。どう思われようが別にいいでございますわよ、ええ。
「そんなんだから彼氏できねぇんだよ!!」
「…誰のせいじゃコルァっ!!!」
「げっふぉっ!」
とりあえずアッパーしといた。
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sakadachi1111(プロフ) - 由貴さん» 長編に引き続きコメントありがとうございます!続編がありそうな短編ばかりで申し訳ないです…!頑張って更新していきたいと思いますので懲りずに見に来てやってくださいね! (2016年2月8日 7時) (レス) id: 781f4e9332 (このIDを非表示/違反報告)
由貴(プロフ) - こんばんは!!面白いです!!続きが気になります!! (2016年2月8日 1時) (レス) id: bf39404b50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さかだち | 作成日時:2015年6月9日 10時