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ミツが今日、発つらしい。ラインなどを通じて、情報だけは巡ってくる。


これを最後にミツには会えない。もしかしたら一生、会えないかもしれない。あり得るからこそ、考えたくなかった。

ずっと、もしかしたら夢かもしれないと思っていた。ミツはいつもように学校にいて。馬鹿なことを言いながら笑いあって。部活をしているかっこいい姿を目に焼き付けながら。


いつもある当たり前の日常が儚くてあっという間になくなってしまう。その現実に抗う術を私はなにも持ってなかった。

もう会えない、もう話せない。もしかしたら、ずっと。



スマホと財布を無造作にポケットに突っ込んで家を飛びたした。メイクもしなければTシャツに短パンスタイルだけれど、気にしてなどいられなかった。


目の前の現実は変えられない。だとしたら私にはすることがあった。



「ミツ!!!」


「…A?」



家の外で荷物を積んでいたミツは元々大きな瞳をさらに大きくした。全力で走ってきた為か息が苦しい。でも、たぶん走っただけじゃない。この胸の痛みはきっと。



「大丈夫かよ、そんなに走ってどうしたんだ?」


「…好き」


「…A?」


「ミツが…好きなの」



ずっとずっと好きだった。いつから好きなのかは覚えていない。ただ、私の視線の先にはいつもミツがいた。どこが好きか、何年も経つとそれすらわからなくなっていた。


私は本当にミツが好きなのだろうか。そんな考えがよぎって、彼のそばを離れても結局は彼が好きかもしれなくて。でも、ミツがいなくなると知って、今までにない強いショックを受けた。



「…これだけは伝えたくて。あと、頑張ってね。応援してるよ」




ミツがいなくなる現実を直視できなくて、応援する言葉すら言えなかった私はまだまだ子供だったのだ。そんな私の頭を撫でながら、ミツは優しくありがとうと口にした。



このまま時が止まってしまえばいい、そんな叶わない私の願いは三月のまだ冷たい空気に吸い込まれていった。

ムーンストーン T→←涙が枯れるほどに Ki



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sakadachi1111(プロフ) - 由貴さん» 長編に引き続きコメントありがとうございます!続編がありそうな短編ばかりで申し訳ないです…!頑張って更新していきたいと思いますので懲りずに見に来てやってくださいね! (2016年2月8日 7時) (レス) id: 781f4e9332 (このIDを非表示/違反報告)
由貴(プロフ) - こんばんは!!面白いです!!続きが気になります!! (2016年2月8日 1時) (レス) id: bf39404b50 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さかだち | 作成日時:2015年6月9日 10時

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