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二曲目 ページ2

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『…っ、あれ…』





気がつくとまだ講義の最中で




…いや、教授が違う




またやった…一度寝ると意地でも起きない悪い癖




頭を掻きながら携帯を見るとマネージャーから不在着信が入っていた



また早く曲をかけと言いたいのだろうか




学年が違う様だしとりあえずここを出よう




鞄を手に取り先程の曲を停止して




後ろの扉から出ようと席を立つ




その時だった




「え?!まって?!佐々山Aやん?!


ちょ!祐基!拓弥!やばいって!!


芸能人おるって!」




ひとりの男性が騒ぎ出した



当たり前に注目の的



普通にいつもの冷やかしだろうな




祐基「んー…アイスに溺れる夢見てたのに起こさないでよ〜…

あ、本当だ!可愛い〜!」



拓弥「え、待ってふたりとも知らなかったの

この大学通ってるって有名じゃん」




なんとも嫌な空気



あいにく私にはこの空気感で彼らと会話を交わす社交性を持ち合わせていない



いつものようにヘッドホンを外さず



聞こえないふりをして立ち去ろうとした





晃一「…ちょ!え、まさか無視?笑

ファン対応悪過ぎん?笑」




左手をがっちり掴まれてしまった




拓弥「愛想悪いのも有名だけどね」




祐基「へぇ〜そうなんだ笑

可愛いのに勿体無いね笑」




晃一「なぁなぁ!新曲聴いたで!

相変わらず綺麗な高音やな!」




『へ…』




これは驚いた

私の曲にまだ興味を示してくれるひとがいたなんて




晃一「なんや聞こえとったんかいな」




少し頰を膨らませる関西弁の男性




『聴いてくださって、ありがとうございます…』




ヘッドホンを外し軽くお礼だけ言った




「ちょっと何あれ芸能人のくせに無愛想」



「吉野君に対して失礼だよね

てかまだ芸能人なんだ笑」



「あの子一発屋の子だよね笑」




講義室中から聞こえる野次



あぁ、やっぱヘッドホンつけとくんだった…





晃一「…俺は好きやで君の歌声


ま、最近音楽愛足らんけどな笑」




何様なんだ



けれどしっかり聴いてくれてるんだと思った





拓弥「晃一いつもあんたの曲ばっか聴いてるよ」




祐基「本当それ!」




晃一「やめろや恥ずかしい笑」




有難いが私もう音楽やめるんだけどね





彼らは注目されることはさほど気にしていないそうだ



沢山の学生の視線は私たちに向けられた




駄目だ…逃げたい




私は彼の手を振り切り走り出した




晃一「えぇ?ちょ!」





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作者名:ぽん | 作成日時:2018年1月1日 0時

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