一曲目 ページ1
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世間というものは酷く自分勝手である
好きなものは好き
嫌いなものは嫌い
実に分かりやすい
けれど仕方ない
私だってそうである
私は歌が嫌い
…厳密に言えば
"嫌いになった"
そんな私はシンガーソングライターである
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「…あ、あの子佐々山Aじゃない?」
「本当だ!
…大学来るとか暇なんだ笑」
ヘッドホンをし日常をシャットダウンする
「何の曲聴いてんだろ」
「love you じゃない?笑」
「かつての栄光笑笑」
何の曲聴いてるか?
何も聴いてないに決まっているじゃない
街を歩くだけでテレビをつけるだけで曲は耳に入る
日常とは常に音楽で溢れているのだ
私は極力聴かないようにする
ヘッドホンをし耳を塞ぐ
先程の女共がほざいていた
love you とは私が2年前に出した曲で
オリコン入りした大ヒット曲である
一度きり…たった一度きりだ
それからというものの
出す曲出す曲が当たらない
ネットでは一発屋呼ばわり
ファンだって離れていった
それも仕方ないのだ
そうゆうものだから
芸能界とは美味しいところしか食べないのだから
授業中
熱心に取り組むわけではなく
ヘッドホンを外さず寝る
出席だけすればいい
寝る時だけ私は曲を流す
誰の曲か知らないけど
"every night you just want to go around"
綺麗な発音
透き通った歌声
五年前中学三年生の時
ある高校の文化祭で全く知らない三人組のロックバンドが歌っていた曲
私はその曲に何かを感じて音楽を始めた
どこの誰かも知らない人の歌声
五年前に自分で撮った音だ
とても音質が悪いが
毎日欠かさず聴いている
この人は音楽を楽しんでいた
今の私には到底不可能なことだ
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profile
・佐々山A
・20歳
・芸術系大学生
・大手事務所に所属している
・シンガーソングライター
・2年前大ヒット曲を生み出すもその後スランプに陥っている
・音楽は嫌いで辞めたいと言っているがマネージャーから止められている
・冷静で冷徹な性格だが感受性は豊か
・あるバンドに心動かされ音楽を始めた
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作者名:ぽん | 作成日時:2018年1月1日 0時