【最遊記】桃源郷の魔法使い〔壱〕 (ページ45)

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Rain② ページ45

女性「お客さん達は東からいらしたから御存知ないでしょうけど、最近この辺では“救世主”とまで呼ばれているお坊さんです。
妖怪を退治する為各地を転々としているそうで、姿を見た者は少ないんですけど…なんでも身体中に札を貼った大男で、彼の呪符にかかればいかなる妖怪も滅するという、凄まじい力を持った法力僧だそうです」

「札…」

八戒「そう言えば、さっき見た妖怪達の死体にも札が…」

あの札には見憶えがあった

“あの男”が…？いや、まさかな…

悟浄「へぇ、住み込みで働いてんだ。部屋どこ？教えてよ」

女性「えー？どうしようかなぁ」

悟浄「外も雨だし、俺達も濡れようぜ」

三蔵「おいセクハラ河童＃」

ナンパをしている悟浄にハリセンを突き付ける

悟浄「何だよッ！俺が何しようと関係ねェだろ！？大体てめェ、そのハリセンいつもどっから出てくんだよ！？」

三蔵「この前の紅孩児の一件から、個人行動はひかえろと言ったばかりだろうが！」

八戒「お茶冷めますよー」

悟空「紅孩児ッあいつ今度いつ来んのかなあ？」

悟浄「ダチかお前ら」

「静かにして…頭痛い…」

コーヒーカップをテーブルに置くと、ベッドに横になった

八戒もお茶を飲み干し、Aの横に座る

八戒「とにかく…雨があがるまでここで休むことにしましょう。Aもこの状態だし、ウチのジープはホロついてないんです」

三蔵「ああ、そうだな…」

─────

十年前

揚子江下流・金山寺

光明「幾ら恵みの雨とはいえ、こうも続くと気がふさぎますね、江流」

江流「ええ。でも、宵の口にはあがりそうですよ、お師匠様」

廊下を歩けば、いつも他の僧達から俺の悪口が聞こえてくる

ま、ムシするけど。

僧「まァ修行僧というよりはお稚児さんって風体だけどなァ？」
僧「くくく…まったくだ！」
僧「いててて！？」

痛がる声に思わず振り向く

朱泱「ろくに働かんと、なァにこんな所で駄弁ってんだあ？お前ら」

僧「師範代！」

朱泱「そんなに活力あり余ってんなら、境内の掃除任しちまおうかなーんー？
オラオラさっさと持ち場に戻りやがれ！サボり野郎は夕飯抜きだぞ」

ドカドカと蹴り、僧達は散らばって行った

江流「相変わらずだな、朱泱(しゅうえい)」

朱泱「お前もな、江流」

あいつは他の僧とは違った…

「札使い」朱泱

江流「…どうした朱泱？」

朱泱「…皆がお前さんのことを修羅か羅刹の様だと言っていたが、俺にはもっと別の物に見えるなと思って」